橋本治さんが亡くなりました。
小説「桃尻娘」や「桃尻語訳 枕草子」、評論などで知られる作家の橋本治(はしもと・おさむ)さんが29日午後3時9分、肺炎のため東京都新宿区の病院で死去した。70歳。東京都出身。
若者言葉で時代の風俗を軽やかに描いた青春小説「桃尻娘」で作家デビュー。若い女性の話し言葉で古典文学をよみがえらせた「桃尻語訳 枕草子」はベストセラーになった。
「宗教なんかこわくない!」で新潮学芸賞を、「『三島由紀夫』とはなにものだったのか」で小林秀雄賞を受賞するなど、評論でも高く評価された。
橋本治さんが亡くなりました。
定期的に橋本治さんの作品が読みたくなります。その時はきまって、調子の悪い、ときです。
調子の悪い、とは、「自分の思考が面白くないな」ということであり、「思考が同じ型になっているな」というときです。
そんな時に橋本治さん作品を僕は欲します。
なぜか。
それは橋本治さんの思考は「ずっと前から」始まっているからです。
根源、とは言えないけど(何が根源かわからないから)、恐らく根源に近いのだろうなあ、と想像してしまう場所から思考をはじめるのが僕が思う橋本治さんです。
橋本治さんは「前提」を無視、というか拒否します。
「こんな「前提」を「前提」とはしませんよ。もっとより前から考え始めますよ」などと野暮なことはもちろん言いませんが、橋本治さんの作品には常にそれが流れているように感じていました。
それを感じるとき、「自分の思考のこわばり」を感じます。それは同時に「思考を解きほぐす」 必要を感じることでもあります。
「自分が前提としていることは本当なのだろうか?もっと前にさかのぼらないとダメなんじゃないか?考えてみよう」
そんな解きほぐしの結果、思考の型から脱出できるのです。
そのうちまた別の思考の型にはまっていき、再度橋本治さんに解きほぐしてもらいます。
僕のこの10年はその繰り返しです。そしてこれからもきっとその繰り返しです。
僕はこれからも橋本治さんにお世話になります。
これまで本当にお世話になりました。
そしてこれからもよろしくお願いいたします。
合掌