古賀絵里子さんという写真家の方の話。


「女酒場放浪記」という居酒屋を紹介する番組で、
古賀絵里子さんのことを知りました。
日本酒が好きなようで、番組内でいつも飲んでいますが、
杯を重ねるとともに目がトロンとしていく様は、まあ、普通にかわいいのです(笑)。
居酒屋を出る頃には口が半開きになってて、明らかな酔っ払いになっているところもかわいいです。


そんなかわいい酔っ払いの古賀さんですが、
お仕事は「写真家」と番組内で紹介されていました。
気になって調べてみたら、なんと言いましょうか、
素晴らしいとか、良い作品とか、そういう客観的な評価の言葉にはそぐわない、
一気に観る者の感じる部分を鷲掴みにして一体化してしまうような、
スピードと力強さと体温を感じさせる写真集を出版されてました。


「浅草善哉」
http://kogaeriko.com/01_asakusa/


<出版社の紹介文>
「ある老夫婦との出会いからその死まで。
かけがえのない日常を綴ったドキュメンタリー

2003年、浅草の三社祭で出会ったある老夫婦。
吸い込まれるように足を踏み入れた、彼らが住まう長屋。
戦後の空気の残る建物と老夫婦の存在に心惹かれ、以降6年間、写真家は彼らの日常を写真に撮り続けました。 人間らしさを失いつつある現代社会と対極にある二人の何気ない暮らしぶりが深く心を揺さぶり、かけがえのない瞬間が輝く。写真本来の力を発揮した一冊。」



といった内容のようです。
6年間、偶然のであったお年寄り夫婦の日常を追ったのですね。
http://kogaeriko.com/01_asakusa/
で全てかはわかりませんが、写真をみることができます。
特に説明も何もないのですが、
涙が溢れ出してきました。



僕はお年寄りが好きです。
その人が邪悪であっても、意地悪くても、自分勝手でも、
そんなことは関係なく、お年寄りが好きです。
多分、子供の頃からそうでした。
ここ1,2年でしょうか。その理由がぼんやりとですが、見えてきたように思います。
それはとても単純なことで
「長い時間を生きている」
ということのように思えます。


「長い時間生きている」


ただそのことだけで人はすごい。
成功とか、幸せとか、楽しいとか、やりがいとか、自分らしいとか、
そんなみんなが大好きで追い求める価値観なんかとは明らかに次元が違うところで
「長い時間生きている」ことはすごい。
ここには論理もなにもないですけど、
僕にはそう思えてならないです。
ホームレスでもいい、貧乏でもいい、お金持ちでもいい、
とにかく「長い時間生きている」こと。
そのことに大いなる価値を僕は感じるのです。
人生の小僧である僕が大胆に言いますが、
「人生=時間」
です。その時間に長い間忠実に乗ってきた人には敬意を表さずにはいられません。
だから、僕はお年寄りが好きです。



古賀さんの「浅草善哉」は、
80歳を超えたお年寄り夫婦の日常が6年間にわたって撮影されたものです。
http://kogaeriko.com/01_asakusa/
でみると、夫婦の写真から、部屋の写真から、家の写真から
様々なものがあります。
どれも「時間」を感じさせるものばかりです。
布団、皺、階段、電話、、、
このお二人の80年がどんなものだったかは、
もちろん僕にはわからないけど、「長い時間生きている」ことは確かです。
それだけでいい。
僕にとってはそれだけ十分です。


写真集を手元に置いておきたいです。