「問題」がなくなる。

北方領土の日、「島を返せ」たすきの使用中止

  • 昨年の「『北方領土の日』根室大会」で「島を返せ」のたすきと、「返せ!北方領土」のはちまきを身に着けた参加者。今年の大会ではいずれも使用しないことが決まった
    昨年の「『北方領土の日根室大会」で「島を返せ」のたすきと、「返せ!北方領土」のはちまきを身に着けた参加者。今年の大会ではいずれも使用しないことが決まった

 北海道根室市は2月7日に開催する「『北方領土の日根室管内住民大会」で、例年、参加者が着用している「島を返せ」と書いたたすきの使用を取りやめることを決めた。はちまきも「返せ!北方領土」から「平和条約の早期締結を」などに変更する。今月22日の日露首脳会談で、両国が平和条約締結交渉を加速させることを確認した。これを受け、地元として交渉の行方に期待する姿勢を示したものだ。

 

 同市の石垣雅敏市長が29日、定例記者会見で明らかにした。ただし、これらの変更が決まっているのは今回のみで、来年については未定としている。

 

 大会は、同市など根室地方1市4町で構成する「北方領土隣接地域振興対策根室管内市町連絡協議会(北隣協)」が主催している。

 

 北隣協は、昨年12月1日に東京都内で実施した「北方領土返還要求中央アピール行動」でも、シュプレヒコールで従来の「北方領土を返せ」という表現を取りやめた。

 

 こちらも、今後の日露平和条約締結と領土交渉に関する動きを地元として見守る意図からとしている。

 今回の「『北方領土の日根室管内住民大会」は、「根室管内の住民が一堂に会し、北方領土問題の早期解決に対する思いの表明」を主たるテーマに掲げ、1000人の参加者を目指している。

 

 弁論大会には昨年、安倍首相を表敬訪問し領土問題解決を訴えた中学生も登場する予定となっている。

2019年01月30日 20時53分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
 

 

 

こうやって「北方領土問題」は「問題」でなくなっていくのですね。

さらに「北方領土」ではなく「クリル列島」となるのでしょう。

 

私が子供のころは、「歯舞!、色丹!、国後!、択捉!」と子供が元気に発生するテレビコマーシャルがありました。政府広報のものだったと思いますが、それをいつの間に安倍政権は「問題」でなくしたのでしょうか。

何か「説明」はありましたか?

ロシアのプーチン大統領と25回だか会ううちに「北方領土問題解決」ではなく、「日ロ平和条約締結」が目的になったようです。

その結果が、歯舞島、色丹島の「返還」ではなく「引き渡し」ですか。

主権はロシアのままで、貸すのだか、何だかで。

面積でみると、歯舞群島は95㎢、色丹島は251㎢。

北方四島の総面積が5,003㎢ですので、たった6.9%です。

【参考】北方領土の大きさ | もっと知ろう 北方領土 | 標津町の紹介 | 標津町役場-北海道標津町役場のホームページです

 

当初は全てを「返還」させることを目的としていたのに、今では6.9%を「引き渡し」てもらうことがゴールになっています。

このバーゲンの「説明」はありましたでしょうか?

外交内容などではありません、このバーゲンについての「説明」です。

外交状況は交渉の末、刻々とかわっていくものなのでしょう。

変わったことを「説明」することは担当者の責任でしょう。安倍内閣に「責任」などということを言っても詮無いことはこの6年で嫌というほど見てきましたが、「責任」を無視するどころか、今度は「手柄」にしようとするのだから、まあ、白い目で見るしかありません。

 

冒頭に引用した記事からも明らかでしょう。

安倍氏が、「領土返還」から「条約締結」にシフトしていることは。

「条約締結をした首相」として喧伝するのでしょう。

尖閣諸島が!」「竹島が!」とえらい剣幕でわめきたてる人たちが、なぜ「北方領土が!」と言わないのかは謎ですが(まあ、謎なんかではなく、ただの中国嫌い、韓国嫌いなだけで、領土なんて何でもよいのでしょう)、彼らも「条約締結をした首相」を誇りに思うことでしょう。

 

たいした「長期政権」です、たいした「外交の安倍」です。

「ウラジミール」と呼んでも何も意味のないことがあらわになった今、それでも「ウラジミール」と呼び続ける彼の声がラジオから流れてきます。

歯舞、色丹
歯舞、色丹

橋本治さんが亡くなりました。

作家の橋本治さんが死去

桃尻娘」、評論でも活躍

©一般社団法人共同通信社

死去した橋本治さん

 小説「桃尻娘」や「桃尻語訳 枕草子」、評論などで知られる作家の橋本治(はしもと・おさむ)さんが29日午後3時9分、肺炎のため東京都新宿区の病院で死去した。70歳。東京都出身。

 若者言葉で時代の風俗を軽やかに描いた青春小説「桃尻娘」で作家デビュー。若い女性の話し言葉で古典文学をよみがえらせた「桃尻語訳 枕草子」はベストセラーになった。

 「宗教なんかこわくない!」で新潮学芸賞を、「『三島由紀夫』とはなにものだったのか」で小林秀雄賞を受賞するなど、評論でも高く評価された。

 

作家の橋本治さんが死去 「桃尻娘」、評論でも活躍 - 共同通信 | This Kiji

 

橋本治さんが亡くなりました。

定期的に橋本治さんの作品が読みたくなります。その時はきまって、調子の悪い、ときです。

調子の悪い、とは、「自分の思考が面白くないな」ということであり、「思考が同じ型になっているな」というときです。

そんな時に橋本治さん作品を僕は欲します。

なぜか。

それは橋本治さんの思考は「ずっと前から」始まっているからです。

根源、とは言えないけど(何が根源かわからないから)、恐らく根源に近いのだろうなあ、と想像してしまう場所から思考をはじめるのが僕が思う橋本治さんです。

橋本治さんは「前提」を無視、というか拒否します。

「こんな「前提」を「前提」とはしませんよ。もっとより前から考え始めますよ」などと野暮なことはもちろん言いませんが、橋本治さんの作品には常にそれが流れているように感じていました。

それを感じるとき、「自分の思考のこわばり」を感じます。それは同時に「思考を解きほぐす」 必要を感じることでもあります。

「自分が前提としていることは本当なのだろうか?もっと前にさかのぼらないとダメなんじゃないか?考えてみよう」

そんな解きほぐしの結果、思考の型から脱出できるのです。

そのうちまた別の思考の型にはまっていき、再度橋本治さんに解きほぐしてもらいます。

僕のこの10年はその繰り返しです。そしてこれからもきっとその繰り返しです。

僕はこれからも橋本治さんにお世話になります。

 

これまで本当にお世話になりました。

そしてこれからもよろしくお願いいたします。

 

合掌

日銀の株式買い、歯止めなく


日銀が金融緩和の一環で行っている上場投資信託ETF)の二〇一八年の買い入れ額は計六兆五千四十億円と過去最高となった。最近の世界的な株安を受け、買い入れ額のメドとする六兆円を大きく超えた。日銀による株の買い支え姿勢が鮮明となる中、株式市場の機能の低下や将来の損失リスクも高まっている。 (岸本拓也)

 取引最終日の大納会の二十八日も日銀はETFを七百十五億円買い入れ、日経平均株価はぎりぎり二万円を保った。年間では、これまで最高だった昨年の五兆九千三十三億円を約10%上回った。夏場以降に株価下落が進み、買い入れが増加。日経平均が二二〇〇円近く下がった十月は、月間買い入れ額が過去最大の八千七百億円となった。今月も七千九百六十一億円と過去四番目だった。

 日銀は白川方明(まさあき)前総裁時代の一〇年十二月からETF買い入れを開始。当時はリーマン・ショック後で日経平均が一万円を下回り、投資家不安を和らげる狙いだった。一三年三月に就任した黒田東彦(はるひこ)総裁は買い入れ枠を拡大。株価が上昇基調になっても枠を順次増やし、現在は「年間約六兆円」を目安に掲げる。

 今年七月には「市場状況に応じて上下に変動しうる」と政策を修正。六兆円超えを容認したことで買い入れ拡大につながった。

 中央銀行による株買いは、主要国はどこも採用していない異例の策。いまや日銀のETF保有残高は二十三兆円を超え、時価では日本市場の約4%に上る。日銀が実質的大株主となる企業も増えることで、企業価値が株価へ適切に反映されず、市場にゆがみを生じさせる懸念がある。

 ETFは、売却しない限り日銀が持ち続ける。将来、株価が急落した場合、日銀は含み損で債務超過のリスクを抱える。前日銀審議委員で野村総研木内登英(たかひで)氏は「簿価(取得額)から三割余り株価が下がれば、日銀の自己資本はほぼ無くなる。常に爆弾を抱えているようなもの。買い入れを減らす方向に正常化すべきだ」と指摘する。

ETF(上場投資信託)> 証券取引所に上場する投資信託で、個別企業の株と同じように売買ができる。複数の大企業の株式を組み合わせ、東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価に連動する商品が代表的。日銀は、信託銀行を通じてTOPIX連動型を中心に買い入れている。買い入れ基準は非公表だが、市場では、午前中に株価が0・5%前後下がると、午後に日銀が買うと言われている。

東京新聞   http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018122990070321.html

このように株価は「維持」されているのですね。
自分の任期“だけ”株価を、見た目にも良い20,000円代に維持することのみ考えた = その後のことは関係ないという政策にしか私には思えません。
そんな政権です。
ここに年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の投資も追加されます。
2014年10月31日から構成割合の目標値を国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%に変更されました。
それまでは、国内債券が51.91%、外国債券は10.76%、日本株式が16.79%、外国株式が15.54%でした。(2014年6月末)
株式比率が、32.33% ⇒ 50%に増えました。
それだけ国民の年金積立金を株式に投資できるようになったわけです。
その後国会で「運用益が出た、出ない」の議論がされていましたが、率直な疑問として私が思うところでは、「その株、売れるの?」ということです。

日銀もGPIFも株式投資比率が増えたことで経済、企業への影響が大きくなっていることは間違いありません。
引用記事にも

「いまや日銀のETF保有残高は二十三兆円を超え、時価では日本市場の約4%に上る。日銀が実質的大株主となる企業も増えることで、企業価値が株価へ適切に反映されず、市場にゆがみを生じさせる懸念がある。」

とあります。

(GPIFは)市場規模509兆円のうち、6%弱の日本株保有している。三井住友、みずほ、三菱UFJの3大メガバンクやホンダなど、少なくとも日本企業の121社の筆頭株主であり、トヨタ自動車の発行済み株式数の5.5%を保有する第二位の大株主である。TOPIX 500のうち、約99%の495社で10位以内の大株主である。

また、日本の中央銀行である日本銀行は、2016年末までに日経平均株価225社のうち、55社で筆頭株主となっており、日本の株式市場における公的機関の存在感が増している。

wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B4%E9%87%91%E7%A9%8D%E7%AB%8B%E9%87%91%E7%AE%A1%E7%90%86%E9%81%8B%E7%94%A8%E7%8B%AC%E7%AB%8B%E8%A1%8C%E6%94%BF%E6%B3%95%E4%BA%BA


これだけ影響力をもった状況で仮に保有株を売ったらそのことによる株価への影響もまた大きいのではないでしょうか?
大黒柱をひっこぬけるのか?
それを考えると、「その株、売れるの?」と思ってしまいます。
「運用益が出た、出ない」なんていう話が馬鹿らしく聞こえてしまう理由です。
それもこれも「株価20,000円超えを維持する」ことにご執心な現政権の“施策”によります。


「わーい、株価が20,000円超えてるんだから好景気だ」なんて思ってたらとんだ“不景気”がやってきます。

生出演「ジャーナリスト安田純平さん生出演〜3年間の拘束生活とシリア」


本日のTBSラジオ荻上チキ・Session-22」に安田純平氏が生出演するそうです。


11月15日(木)「ジャーナリスト安田純平さん生出演〜3年間の拘束生活とシリア」安田純平×山崎やよい×保坂修司×荻上チキ(TBSラジオ荻上チキ・Session-22」22時〜)
ホームページ【音声配信】「ジャーナリスト安田純平さんに聞く〜シリアで拘束された3年間」安田純平×山崎やよい×保坂修司×荻上チキ2018年11月15日(木)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」22時~)


radikoでももちろん聴くことができます。
radiko.jp(ラジコ) | ラジオがインターネット(アプリやパソコン)で無料で聴ける


タイムフリーで放送後1週間聴けますので生で聴くことができない人はどうぞ!


また、「荻上チキ・Session-22」はホームページでも音声を聴くことができます。
こちらは期限は特にないと思います。(たぶん)
ホームページ荻上チキSession-22|TBSラジオFM90.5+AM954~聞けば、見えてくる~


「自己責任論」を吐き散らす人もそうでない人も必聴です。

知らずに賛成


もう1週間ほど前の記事ですが、衝撃を受けたので掲載しておきます。



「私自身も(種子法廃止の)中身が分からず(賛成に)起立した1人だ」


こんな人たちに日々の生活や国の形にかかわる法案が可決されていることに暗澹たる気持ち以外湧いてきません。


2013年成立の特定秘密保護法(特定秘密の保護に関する法律)
2015年成立の安保法(平和安全法制)
2016年成立のTPP(環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律)
2017年成立の共謀罪テロ等準備罪
2018年成立の高プロ制(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)
2018年廃止の種子法(主要農作物種子法)
そして現在行われている臨時国会での成立が目指されているといわれる、
・漁業法の改正
外国人労働者の受け入れ拡大(出入国管理法の改正)
・水道民営化(水道法の改正)
といった法案の数々。。。。。


これらの法律が「私自身も(種子法廃止の)中身が分からず(賛成に)起立した1人だ」とおっしゃる人々によって支えられ、成立しているのです。
ここに憲法も加えようとしているのでしょう。


この発言をしている竹下亘氏は、元衆議院予算委員長であり、元国会対策委員長であり、元自由民主党総務会長であり、元復興大臣の方です。
そんな“重要な”人がこんな体たらくなわけで。。


悲しい。


【参考】竹下前総務会長が市民団体に懺悔 「種子法」復活に光か?
竹下前総務会長が市民団体に懺悔 「種子法」復活に光か?|日刊ゲンダイDIGITAL

世界各国のツイッターにおける「アメリカ中間選挙2018」


本日、日本時間の11月7日にアメリ中間選挙が行われれました。
これを書いている11/7(水)19:39現在、上院では共和党過半数維持、下院では民主党過半数獲得といった結果がでているようです。


アメリ中間選挙が行われているこの日、世界各国のツイッターではどのようなことが話題になっていたのか? が気になり調べてみました。


Twittrend
https://twittrend.jp/


このサイトを基にしています。


イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、オーストラリア、カナダ、アメリカ、日本の8か国と世界の9つです。
(韓国も画像のみ用意しますが、読めないので分かりません。韓国語がわかる方にご教授いただけると助かります)


各国の日本時間11/7の9:00、12:00、14:00、15:06におけるツイッターのトレンド入りワード上位10位までをまとめたものです。


アメリ中間選挙に関連している(だろう)ワードを赤い四角で囲んでいます。
それをもってその国におけるアメリ中間選挙への関心がある程度わかるのではないかと考えました。
(関連しているだろうワードの選定は僕が行いました。もしかしたら誤りがあるかもしれません)


以下の画像の結果を分析して「こうだ!」と愚見を述べたいのではなく、みなさんの何かの考える材料になれば嬉しく思います。
※ 画像の文字がよみづらく申し訳ありません。


それぞれの数字は、4つの時間帯におけるアメリ中間選挙の関連ワードののべ数です。


アメリカ】31


【イギリス】23


【フランス】8


【ドイツ】11


【イタリア】2


【オーストラリア】16


【カナダ】18


【日本】4


【世界】23


【韓国】

??

安田純平氏に関する自己責任論に僕が与さない理由


安田純平氏が10/25(木)に帰国しました。
「解放」「帰国」といった事実報道の次にきたのは、安田さんの行動についての様々な人からの言及です。
それは主にネット空間、とりわけSNSで行われています。


安田純平さんへの「自己責任」批判に賛否両論 著名人の見解まとめ」
安田純平さんへの「自己責任」批判に賛否両論 著名人の見解まとめ


有名な方々のツイッターでの発言です。
これらの発言の前提となるものは「自己責任論」です。
「安田さんの自己責任だろう」ということを軸に、「そうだ、そうだ」か、「いや違うだろう」にそれぞれの人が発言しているわけです。


そもそも「安田さんにおける自己責任論ってどんなこと?」を確認したいのですが、それは以下の言葉が端的です。

(ビート)たけしは「フリージャーナリストっていうのは現地へ行って記事を書いて、それを出版社に売って儲けるわけでしょ?戦場カメラマンと同じで、危険を冒してもいい写真を撮りたいわけじゃん。仕事のために危険を冒すのはリスクだから、それに政府がお金を出したのかどうかはわからないけど…どうなんだろうね」


ビートたけしが安田純平さんの自己責任論に同調「失敗したんじゃ」 - ライブドアニュース

「安田氏が拘束されたのは自己責任であるから、まず謝るべきだ」
「安田氏は救助費用を国に弁済するべきだ」


「自己責任論の正体【安田純平氏解放と日本型ネオリベラリズムの蠢動】」
自己責任論の正体【安田純平氏解放と日本型ネオリベラリズムの蠢動】(古谷経衡) - 個人 - Yahoo!ニュース


とても分かりやすい。
これらが安田氏に関する自己責任論の要点でしょう。
「危険なところにいって捕まったんだから自己責任だ。それに国がお金を出すのは違うんじゃないの」
ということですね。


それでは安田氏が拘束された2015年6月頃のシリアはどれくらい危険だったのでしょうか。
2016年2月19日のものですが、日本国外務省のシリアについての注意喚起をみてみます。


1.概況
(1)シリア国内においては、ISIL、ヌスラ戦線等のイスラム過激派組織、反政府武装勢力クルド勢力及びシリア軍・治安当局等の勢力が入り乱れて衝突しており、全土で多数の死傷者が発生しています。首都ダマスカス、アレッポやラッカを含むシリア全域で日本人渡航者・滞在者に深刻な危険が及ぶ可能性が極めて高い状況が継続しています。
(2)2015年、シリアにおける邦人殺害テロ事件が発生しました。ISILは、公開した映像の中で今後日本人が同組織の攻撃の標的となる旨警告しています。
(3)国際社会を中心にシリア危機を終結させるための努力が続けられていますが、一方でシリア情勢は短期間に改善する見通しが依然として立たないことから、ますます治安が不安定かつ流動的になる可能性もあります。また、ISILなどのイスラム過激派組織や犯罪集団等による誘拐・強盗等の凶悪犯罪が多発しており、極めて危険です。
(4)特にシリア北西部から北東部にかけての地域では様々な勢力が衝突を繰り返しているため、戦闘に巻き込まれる蓋然性が高く、ISILなどのイスラム過激派組織等に誘拐・拘束されるおそれもあり、非常に危険です。また、反政府勢力等が自主運営する国境検問所を通過してシリア領内に入域した場合は、シリア政府から不法入国の罪で逮捕・拘束されるおそれもあります。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢
 1.概況のとおり。

3.誘拐事件の発生状況
(1)2011年3月のシリア危機勃発から現在まで、シリア政府軍・治安当局、イスラム過激派組織、反政府武装勢力クルド勢力等が入り乱れて衝突しており、シリア国内ではこうした混乱に乗じた形で、犯罪集団は、外国人・シリア人双方を標的とした身代金目的の拉致・誘拐・強盗を多数敢行しているほか、ISILなどのイスラム過激派組織は計画的に外国人ジャーナリストなどを拉致・誘拐しています。
(2)また、ISILは、2014年8月から断続的に、誘拐した外国人ジャーナリスト及び援助活動家等の殺害映像をインターネット上で公開するとともに、その支持者に対して、一部欧米諸国人を明示しつつ「連合」参加国の国民に対する攻撃を実行するよう呼びかけています。

4.日本人・日本権益に対する脅威
(1)2015年のシリアにおける邦人殺害テロ事件に関し、ISILは、今後日本人を更なる攻撃の標的とする旨警告しています。特にシリア国内においては、日本人がテロを含む様々な事件に巻き込まれる可能性が高く、極めて危険です。
(2)2012年8月、北部アレッポで、日本人ジャーナリストが取材中に銃撃を受け、死亡する事件が発生しました。首都ダマスカスにおいても爆弾テロ事件や砲弾の着弾が散発的に発生しており、日本人が巻き添えになるおそれも依然高いままとなっています。

(注記)
 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が、報道等の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり、本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。


海外安全ホームページ: テロ・誘拐情勢


となっています。


「深刻な危険が及ぶ可能性が極めて高い」
「ISILは、公開した映像の中で今後日本人が同組織の攻撃の標的となる旨警告しています。」
「ISILなどのイスラム過激派組織や犯罪集団等による誘拐・強盗等の凶悪犯罪が多発しており、極めて危険です。」
「反政府勢力等が自主運営する国境検問所を通過してシリア領内に入域した場合は、シリア政府から不法入国の罪で逮捕・拘束されるおそれもあります。」


繰り返し危険であることを記しています。外務省は相当「行かないでね」と行っています。
これをもって、「国が危険だと言っているところに勝手に行って捕まるのは自分が悪い」という自己責任論が生成されるのでしょう。


安田氏に関する自己責任論の肝は、
・国(権威をもつもの)の指示を無視したこと
・一般的に明らかに危険(悪い)と思われているもの、ことを実行していること
にあることがわかります。
もっと馴染みのある言葉があります。「自業自得」です。
自己責任なんていう、ちょっと形式ばった言葉で語られますが、要は「それお前が悪いんだろ?」という自業自得。


ここで重要なのは、安田氏に関する自己責任論は武装集団に誘拐されたという結果とともに、「国の指示」や「一般的常識」を逸脱したことをも射程にいれていることです。
ただ「武装集団に誘拐された」という結果だけで、それまでに日本国外務省の指示・忠告や一般的常識が醸成されていない状況であるなら、自己責任論は起きなかったでしょう。「不運な事件だ。かわいそうに」
具体的にその状況とは、日本国外務省が「シリアは危険」というメッセージを発していない、またその認識が一般的には語られていない状況です。
ということは、今回の自己責任論には「国の指示」「一般的常識」を逸脱したことも含まれているはずです。
「国の指示には従えよ」「みんなが危険って言っているだから危険なんだよ」
言うことを聴かない人が失敗したんだからそれは自業自得だよ、と。


安田氏の自己責任論に同調する人は、自分が病気になったとき「これは自己責任だ。国民健康保険は使わずに10割自己負担するぞ!」と元気に宣言しなくてはなりません。
日本国厚労省は様々な健康リスクについて見解を発表しています。


厚労省ホームページ>


睡眠
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf


たばこ
たばこ|厚生労働省


お酒
アルコール|厚生労働省


運動
身体活動・運動|厚生労働省


「良い睡眠」を規定・推奨し、「たばこ」、「お酒」の危険性を謳っています。
「運動をやりましょう」と言い、「野菜を一日350g食べましょう」と訴えています。
「適正体重を維持しなさい」「平均食塩摂取量を一日10g以下にしなさい」と忠告しています。


まだまだ数限りなく続くこの手のリスト全てをクリアしていないのであれば、「自己責任」として全て自分で医療費を負担すべきです。
なにせ「国が指示・忠告」していることであり、「一般常識」としても認識されていることなのですから。それらより逸脱しているのなら、選択肢は「自己責任」以外ありません。
安田氏に関しても
・国(権威をもつもの)の指示を無視したこと
・一般的に明らかに危険(悪い)と思われているもの、ことを実行していること
が自己責任論の論拠になっているのですから、それに加担する人は、自分も同じ基準で自分を処遇しないと道理が通りません。


そんな方々には朗報です。時の大臣がお仲間ですよ。

麻生氏は「おれは78歳で病院の世話になったことはほとんどない」とした上で「『自分で飲み倒して、運動も全然しない人の医療費を、健康に努力している俺が払うのはあほらしい、やってられん』と言った先輩がいた。いいこと言うなと思って聞いていた」と話した。


不摂生な人の医療費負担「あほらしい」に麻生氏が同調:朝日新聞デジタル


この方も病気になったら10割自己負担されるのでしょう。
厚労省の指摘や一般常識に登録されているリスト全てをクリアされているのなら別ですが。



僕は、国が指示することや一般常識を逸脱しない自信はありません。
何かしらで逸脱するでしょう。そして失敗するでしょう。
だからそうなっても助けてもらえる社会を望んでいます。
自分を守るためにも。
それが安田氏に関する自己責任論に僕が与さない理由です。