「歩いて行ける範囲の言葉」で憲法を

マンガで読む「改憲」 福島からの避難者ら作成、ネットで反響


 自民党改憲草案を分かりやすく解説したマンガがインターネットにアップされ、アクセス数がわずか一カ月弱で五万四千件を超え、関心を呼んでいる。作成したのは、脱原発や環境問題に取り組む市民グループ豊橋いのちと未来を守る会」(愛知県豊橋市)。自民党が圧勝した参院選の結果を受け「自民党案が何を意味しているのか、知らないのは危険。若い人たちに読んでほしい」と訴えている。 (原尚子)
 マンガのタイトルは「ちゃんと知らなきゃ大変だっ!!」。福島県郡山市から母子で避難している西田奈加子さん(40)が作画を、東京から避難中のグラフィックデザイナー渡辺亜希子さん(37)が編集を担当した。
 昨年十二月の政権交代後、二人は原発推進や九条改憲の流れが強まっていることに危機感を抱く。草案について調べるうちに猛省した。「こんなに恐ろしいことを、なぜ今まで知らなかったのか」
 自民党案は「国防軍」の保持を明記。現行憲法が国会議員や公務員だけに憲法擁護の義務を課すのに対し「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」との条文を新設するなど、国民の負う責任や義務を強める。国民の権利に関しても「公益及び公の秩序に反してはならない」などと制約する。
 「自分たちはマンガで育った世代。子育て中のママたちも、ネット上でコマが割ってあれば、興味を持ってもらえると思った」と、マンガで訴えていくことを思い付いた。
 作品では、一九条の思想及び良心の自由や、二九条の財産権について、現行憲法の「侵してはならない」から、自民党案では「保障する」と変えている部分について指摘。「(国・政府が)『保障はするけど侵すかも』とも、とれるでしょ」と説明する。
 参院選公示を前に、先月二十七日に「守る会」ウェブページに掲載。それまで多くても一日二百件ほどだったアクセスが一週間で二万八千件にも上った。メールやツイッターで「知らなかった」「そういうことか」などの感想も寄せられている。
 渡辺さんは「私の周囲に原発推進派なんていないのに、再稼働が決まってしまう。民意でないものが横行している」と危惧。低投票率で終わった参院選には「改憲も、投票に行かないことで許してしまってはいけないと思ったが…」と落胆する。「危機感を持つ人を増やすためにアピールし続ける。共感してもらえたら、ぜひ拡散してほしい」と話している。
 マンガはタイトル名で検索するか、URL=http://nabeho.com/inomira/have_to_know.htmlで。


東京新聞 7/24(水) 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013072402000132.html

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一昨日の東京新聞の記事です。
漫画で自民党憲法草案の問題点を訴えよう、という試みの紹介です。
漫画は実際に
http://nabeho.com/inomira/have_to_know.html
でダウンロードできます。


こういう試みはとても素敵だと思います。
現在の憲法界隈の状況をみると、
知っている人と知らない人の差がかなり大きい印象です。
現行憲法に対してもですし、自民党憲法草案に対してもです。
先の参議院議員選挙自民党公明党は、議席数をかなりのばしました。
与党で135議席となり、過半数(121)を大きく上回っています。
憲法改憲発議を出せる2/3以上(162)には届きませんが、
条文によっては他党を引き込んでその数を揃えることは可能な状況だと僕は認識しています。
民主党みんなの党日本維新の会の連合についての勉強会が発足したようですし。http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130726/stt13072600590000-n1.htm


いつ憲法改憲発議が出されてもおかしくない状況だと僕は考えています。
発議の後には国民投票があるわけですが、その時になって慌てて
憲法とは!」のような議論を初めても遅いのだと思います。
「遅い」というのは、改憲阻止に対して遅い、という意味ではなく、
改憲賛成であろうが、反対であろうが、
その根拠となる思考を練ることに対して、遅い、という意味です。
憲法までもが「風」によって決められては、目も当てられません。
賛成でも反対でも、「憲法とは何ぞや」をまず認識した上で判断することは国民的義務であろうと僕は思います。



僕の考えは、自民党改憲草案に対して、
明確に「NO」です。
特に96条改憲に対しては強くそれを感じます。
以前にこのような文章を書きました。


「映画『リンカーン』と憲法96条改悪案について」
http://d.hatena.ne.jp/narumasa_2929/20130427/1367042764


日本国憲法96条変更に関する私見
http://d.hatena.ne.jp/narumasa_2929/20130516/1368688237


日本国憲法96条改憲について【簡略版】」
http://d.hatena.ne.jp/narumasa_2929/20130611/1370929814


今も変わらない想いです。
自民党憲法草案では、9条や12条、21条、22条など様々な問題点が指摘されていますが、僕は96条を最も問題視しています。
詳しくは上記の過去ブログに譲りますが、
憲法憲法たる担保こそ96条だと思っているからです。
これが崩れたら、憲法はただのお飾りになってしまう恐れがあります。
僕はそれをどうしても認めるわけにはいきません。


僕はその考え方を基本に「憲法とはなんぞや」を周囲の人に伝えていきたいと思っています。(もちろん、僕も憲法について詳しいわけではないので、自分も勉強しつつですが)
伝える人が5人であっても、その5人が5人に伝えれば、計25人になります。
さらにその25人が5人に、、、とねずみ講のようですが(笑)、
広がって行く可能性があります。
実際に「理解」という段階に到達するのは、
テレビやラジオやネットなどで何千人、何万人、何十万に向かって発せられている言葉ではなく、
表情を見ながら、話すスピードの強弱を感じながら、話す‘間’を感じながらの対話から生み出される言葉によってではないかと僕は思っています。
僕はそれを「歩いて行ける範囲の言葉」と呼んでいますが、
その言葉を見直す段階なのではないかと思っています。
不特定多数に向かう「空虚」な言葉に対し、煽動する言葉に対し、
対立を煽る言葉に対し、嫌気を感じている人は実は多いのではないでしょうか。
そんな距離感も時間感も情緒も思いやりも失った言葉からは、
善きものは生まれない、と僕は信じています。
僕はそんな言葉に憲法を任せたくありません。


えらそうなことを書いていますが(笑)、
早速自分のできることではじめたいと思います。
漫画は描けませんが(笑)。
その結果、理解し考えた末に「96条改憲賛成」ならそれはそれでしょうがない。
(残念ですが笑)
とりあえず憲法について考えること、
そんな人を増やして行きたいです。
時間はそれほどないのだと思います。




日本国憲法 第十二条
「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを乱用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」