最近買った本


荒天の武学 (集英社新書)

荒天の武学 (集英社新書)


内田樹さんの本は新しいのが出ると買います。
思想家・内田樹さんは武術家でもあります。
その内田さんが「先生」と敬う武術家・光岡英稔さんとの対談です。
僕はなんの武術もしていませんが、内田さんのこれまでの文章を読んできて、
武術がメインテーマであっても、そこには人類的な知恵が介在していることを知っています。
なので、武術に関係性が薄い僕でもなんの躊躇もなく手にすることができます。


まだ途中までしか読んでませんが、それまでで気になった文章です。


「生きている力が萎えるようなものから遠ざかりたい」内田樹


僕も常日頃からこんなことを思っています。
偶然にも一致した!という感動を味わいたいところですが、
僕がこのように思うようになったのは、これまでの内田樹さんの教えからである可能性が高いので必然なのかもしれません(笑)。
日常生活している中で、「あ、なんかここにいたくないな」「あそこに行くとイライラしそうだ」といかいうところには極力近づかないようにしています。
それは言ってしまえば勘なのですが、日々考えていると、だんだん勘の精度が高くなっていっているような気がします。
「自分が好きな場所だろうが、嫌いな場所だろうが、自分を高める場所で頑張ることで成長できる」と極めて‘正しい’ことを言う人もいるでしょうが、
僕はそんな‘成長’には興味がありません。
僕が興味ある‘成長’は、自分の気分が悪くならないところで、心身の動きを最高潮にさせ得ることができる‘成長’です。
まあ、実際は‘成長’という結果にはあまり興味なくて、自分が気分が悪くならないところにいれば勝手に‘成長’してるんだろうなあ、と思うだけですが。
自分の心身の動きが衰える場所では‘成長’とは逆の方向に行くような気がしてなりません。
やりたくないことをやらない言い訳でしかありませんが(笑)。



賃銀・価格および利潤 (岩波文庫 白 124-8)

賃銀・価格および利潤 (岩波文庫 白 124-8)


資本論」を読まねば、と思いつつ、幾年。
いい加減にしなくては人生終わってしまう、
とは思いつつも、いきなり「資本論」は自分には荷が重すぎるので、
まずはこの本から。
表紙に
「『資本論』への最善の、そうして最も平易な入門書」
と書いてあったから購入しました(笑)。


ちなみに今年の目標は、岩波文庫15冊読む、というのを決めました。
控えめですが、とりあえずこれくらいで自分を励ましながら進めていきます(笑)。



「3・11後」忘却に抗して―識者53人の言葉

「3・11後」忘却に抗して―識者53人の言葉


毎日新聞の記事をまとめたものです。
内容は、東日本大震災後、2011年3月17日〜2012年3月7日の期間の、著名人への地震原発事故についてのインタビュー記事です。
全53人の方々が登場します。
その53人は、吉本隆明さん、梅原猛さん、金子兜太さん、むのたけじさん、内田樹さん、緒方貞子さん、平田オリザさんなど、
様々な分野で顕著な活躍をされている方々ばかりです。
その方々の、3.11への想い、考えです。


本屋で見かけて買いました。
最初からこの本を買いに行ったわけではありませんでした。
平積みにされているこの本と目があい、力強くグッと引き付けられ手に取りました。
特に内容を確認するわけでもなく、購入を即断しました。
「これは読まねば」と感じました。
勉強になる、とか、知りたかったことだった、からではありません。
いや、確かに「知りたかった」ことなのです。
ただ、僕がそれを認識したのは、この本と目が合い、この本のタイトルを見、手にとったからです。
この本を目の前にして、
「ああ、僕は3.11、それにまつわる様々なことを忘れたくない」
という自分の欲望を認識したのです。
自分の中に認識している確固たる核があったわけでなく、
モノを媒体にして自分の中にあった、しかし気づいていなかった想いを認識したのです。


人は、自分の中にある確固たる想いがあり、それを形にして生きているのが全てではない、と僕は思っています。
様々なモノ、コト、人に触れることで、自分の中にある想いに‘気づく’ことでも生きているのだと思っています。
むしろ、後者の方が圧倒的うに多いのだと思っています。
「こうしたい」「これが好き」「これが嫌い」という欲望、好悪をあらかじめもって行動しているわけではなく、
あるモノを手にし、あるコトを知り、ある人に会って、自分の欲望や好悪に気づくという経路。
周りの存在がなければ、自分の欲望にも好悪にも気づくことができずに、自分が何者かも明確につかむことができないのではないでしょうか。
自分は周りの様々な存在によって、自分の存在の枠組みを得ることができ、立つことができるではないでしょうか。
つまりは、「他者は常に自己を先行している」のです。
他者が、好きであろうが、嫌いであろうが、自分の認識を確定させるということに関しては同様の価値を持っています。
どちらも自分にとっては、自分の一面を確定させる師匠なのです。


この本に出会い、「3.11を忘却することに抗したい」という自分の想いに気づきました。
その想いを持ち続け、より強固に、豊かにしていくように、取り組んでいきます。