言葉の支配力

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100320-00000709-yom-pol


生方さんの今後を考えてみると興味深いような気がします。
今後といっても、役職がなんだとか、立場がなんだとかではなく、
今後の基本行動についてです。


生方さんの主張は、


「このままでは、参議院選挙に民主党が負ける」
「政権、民主党支持率が下がったのは小沢幹事長の責任だ」
「今の民主党は、民主主義体制ではない」


というようなことだったかと思います。


「いずれにせよよろしくないことが起こりますよ、だから私は言ったんだ」
という流れだったのでしょうが、
これらの話を他の多くの人が知った今、
生方さんはどのような行動を今後していくのでしょうか。


それは一見不合理なことのような気がします。
なぜなら、生方さんは今後、彼の主張する上記3つのことを
実現しようと行動していくだろう、ということだからです。
つまりは、「民主党をよろしくない方向に持っていく」ということです。
よろしくない方向を改めようとして諫言したのに、
その方向性を実行させようとする、というのは何ともおかしな話ですが、
多分その方向で生方さんは進んでいくのではないかと思います。


なぜなら、すごく単純な話ですが、生方さんが「ダメだ!」と言っていた


「このままでは、参議院選挙に民主党が負ける」
「政権、民主党支持率が下がったのは小沢幹事長の責任だ」
「今の民主党は、民主主義体制ではない」


が実現しなければ、自分は嘘つきになってしまうからです。


自分が嘘つきにならないためには、
これらを実現させるしかありません。
「ほーらね、やっぱり私が言ったとおりでしょ」
というためには、民主党をよろしくない方向へもっていくしかありません。
恐らく、意識的にそんなことはやらないでしょうけど、
無意識的に確実に生方さんの行動に影響を与えることだろうと僕は思います。
言葉遣いだったり、付き合う相手だったり、目に付く本だったり、
そんな日常が「民主党の堕落」を願ったものになるのではないか。
もちろん、そんなことをご本人は明言するわけないだろうし、
そもそも自覚すらしていないだろうと思います。
「私は民主党のため、国のために働く」
と思っている‘善良な’政治家なんだろうと思います。
でも、生方さんは「民主党の堕落願望」から逃れることはできません。恐らく。


生方さんが


「このままでは、参議院選挙に民主党が負ける」
「政権、民主党支持率が下がったのは小沢幹事長の責任だ」
「今の民主党は、民主主義体制ではない」


の言葉を外部に出した時から、
否応なしに「民主党の堕落願望」はスタートしました。
その外部も、例えば身内、仲間、関係者、無関係者などなどランクは
ありますが、
「身内だけなら引っ込みついたけど、無関係者までいっちゃったら引っ込みがつかない」
というような、状況の違いもあります。
「嘘をつく」ことの影響の大小が変わり、
もちろん、その話を知った人の数が多ければ多いほどその影響は大きくなります。
今回の件でいえば、無関係者にまで話が知れてしまったわけで、
「嘘をつく」ことの影響は極めて大きいだろうと想像されます。
それを回避しようとすることは至極当然のことだと思いますし、
生方さんもそうされるのではないでしょうか。


「言葉を外に出した途端、その言葉は実質的に人を支配する」
ことの好例ではないかと思い、大変興味深いです。


と書きつつ、僕も嘘つきになりたくないので、
生方さんが上記のような行動をすることを無意識的にも願っているはずなので、
その輪から逃れることができないことを思うと、
なんだか遠くを見つめてしまいます。


「言葉に支配されている」
このことに謙虚に向かい合うことで、自分を律するしかないのかと
よくわかりませんが、思っています。