沖縄知事選結果の新聞報道

先日9/30(日)に沖縄知事選挙があり、玉城デニーさんが佐喜真淳さんに約8万票もの大差で勝利したのはご存知のとおり。


玉城デニー  396,632  得票率 55.1%
佐喜真淳   316,458  得票率 43.9%
兼島俊    3,638 得票率 0.5%
渡口初美     3,482 得票率 0.5%


という結果でした。


この結果を各新聞がどのように、どれくらい報じたのかを調べてみました。
選挙の次の日、10/1(月)に朝日新聞、読売新聞、毎日新聞日経新聞東京新聞産経新聞を購入し、
・どこに
・どんな内容で(見出し文言、記事内容)
・どれくらいのスペースで
を確認したのでその報告を。小見出しと記事抜粋をまとめました。
参考資料として沖縄知事選を振り返る材料になれば幸いです。


東京新聞
※ 10/1(月)朝刊には締切時間の都合かと思いますが結果が掲載されていなかったので、10/2(火)朝刊の内容になります。


<一面> 259cm2
「新基地造らせぬ遺志継ぐ」沖縄県知事に玉城氏  


<三面> 315cm2
沖縄知事戦敗北「首相、地方で不人気」
自民参院選1人区に不安
野党は一本化に弾み


<五面> 222cm2
『社説』 辺野古基地は白紙に


<二十二、二十三面> 1090cm2
『こちら特捜部』
沖縄知事戦やり過ぎ相次ぐ
投票の自由侵害の恐れ
カネと締め付け県民反発
強硬姿勢にNO 安倍一強政権の終わり?


計 1,886cm2


朝日新聞
<一面> 882cm2
辺野古反対玉城氏当選
沖縄知事選佐喜真氏破る 全面支援の政権に打撃
辺野古が唯一」再考の時 那覇総局長・伊東聖


・県民は翁長氏が当選した前回知事選に続き、「辺野古移設」にノーを突き付けた形となった。
・来年の統一地方選参院選の「選挙の顔」として疑問符もつきそうだ。


<二面> 1294cm2
辺野古「ノー」再び
玉城氏、党派色薄め継承前面
政権、工事再開目指す構え
限られる県の対抗策


『時時刻刻
佐喜真氏「経済優先」届かず


本社出口調査
 玉城氏に無党派層70% 基地問題「内閣の姿勢」評価せず64%


『ひと』
ラジオDJから沖縄県知事に 玉城デニーさん(58)


<三面> 258cm2
政権誤算 参院選に暗雲
 首相周辺「3選直後、厳しい」


<十面> 225cm2
『社説』沖縄県知事辺野古ノーの民意を聞け
朝日新聞などが行った県民世論調査では、辺野古への移設は賛成25%、反対50%だったが、基地問題に対する内閣の姿勢を聞く問いでは、「評価する」14%、「評価しない」63%とさらに大きな差がついた。


<三十三面> 1,156cm2
翁長氏の遺志継ぐ
 玉城氏「辺野古阻止」で結束
 「沖縄が一つに」託されたバトン
 ■声聞かぬ政権に反感 ■迷った末に「生活優先」(投票者の声)
 佐喜真氏「国と対話」響かず

 
 県民の危機感示す  江上能義琉球大学名誉教授
 政権、ボールどう返す 遠藤乾北海道大学教授


計 2,933cm2


産経新聞
※ 10/1(月)朝刊には締切時間の都合かと思いますが結果が掲載されていなかったので、10/2(火)朝刊の内容になります。


<一面> 161cm2
沖縄県知事に玉城氏 辺野古反対派


<二面> 202cm2
『主張』
沖縄県知事に玉城氏
国と県の関係性図れ
・国との関係を正常化し、基地負担の軽減を進めていく現実的な立場をとってもらいたい。
・抑止力の維持と基地の安全性の確保を両立させるためには、辺野古移設が唯一現実的な解決策だ。


<五面> 447cm2
『単刀直言』(玉城新知事のインタビュー記事)
基地問題 国側は真摯に協議
将来、自衛隊と米軍と共同しようも


「弔い合戦」無党派共感 242cm2
沖縄県知事選 大差8万票 与党に打撃
・佐喜真陣営は当初、玉城氏を支援する「オール沖縄」の基礎票を約32万票と見込んでいた。これに対して自民、公明両党の基礎票は合わせて約30万票。2万票超を積み増せば勝てるとそろばんをはじいていた。
公明党幹部は1日、こうつぶやいた。「沖縄は完敗だ。沖縄の心に真に寄り添わないといけないということだ。しかし学会があれだけ本気でやって、これほど大敗するとは思わなかった・・・」


計 1,053cm2


【読売新聞】


<一面> 412cm2
沖縄知事に玉城氏 辺野古反対を継承
「承認撤回」無効化今月上旬にも訴訟


<二面> 408cm2
移設問題停滞させるな 那覇支局長 高橋宏平
・在沖縄米軍の抑止力を維持することは不可欠。普天間飛行場は住宅地の中にあり、一刻も早く危険性を除去するには、沿岸部に位置し、受け入れの機運もある辺野古への移設が現実的な方法。
・玉城氏は大局に立ち、政府とともに基地負担方法の軽減実現に向けた方策を探るべきだ。

出口調査
知事選争点「基地」43%、「景気」「教育」も関心


<三面> 816cm2
『スキャナー』
移設混迷深まる 玉城氏当選
辺野古 法廷闘争継続へ
沖縄県庁内にさえ「訴訟になれば県側は勝てない」とする声がある。
・玉城氏は、翁長氏同様、普天間飛行場の移設先について代替案を示していない。


与党痛手 態勢立て直し
・来年夏の参院の前哨戦」と位置付ける向きもあっただけに、党幹部らは落胆の色を隠せない。
・野党にとっては、参院選での野党共闘に弾みがつきそうだ。


計 1,636cm2


毎日新聞
<一面> 529cm2
沖縄知事に辺野古反対派
安倍政権に痛手


<三面> 821cm2
『クローズアップ』
「弔い合戦」が奏功
自公総力戦実らず
・政府は今後も移設計画を進める方針だが、安倍政権の求心力低下も予想される中、先行きは不透明である。
・中堅議員は「来年の参院選を意識せざるを得ず、その時‘安倍政権では苦しい’というムードが強まるかもしれない」ともらす。
・政権が直近の民意に反して移設を進めれば、沖縄だけでなく国内世論に「おごり」批判が高まる可能性もある。


出口調査
「移設」最重視48%


<五面> 206cm2
『社説』 沖縄知事にデニー
再び「辺野古ノー」の重さ
・安倍政権はこの間、民意に刃向かうう形で強引に埋め立て工事を進めてきた。
・問題の核心は、日米安保のメリットは日本全土が受けているのに基地負担は沖縄に集中するという、その極端な不均衡である。
・外交、安保は政府の専権事項だからといって、圧倒的な多数派の本土側が少数派の沖縄に不利益を押し付けるのを民主主義とは言わない。
・問答無用で基地負担をごり押しする手法で状況を動かすことはできない。


<二十四面> 310cm2
平和な沖縄託す
「政府に声届けて」


<二十五面> 922cm2
辺野古再びノー
「翁長さん遺志」県民共
佐喜真さん「争点隠し」失敗


『ミニ論点』
ヤマトンチュへの怒り 仲地博琉球大学
・沖縄に過重な米軍基地負担を押し付けていることを当たり前としてきたヤマトンチュ(本土の人)に対するウチナーンチュ(沖縄の人)の激しい怒りの表れでもある。
米兵が父 熊本博之明星大准教授


計 2,788cm2


日経新聞
※ 10/1(月)朝刊には締切時間の都合かと思いますが結果が掲載されていませんでした。10/2(火)に買い忘れてしまったので未調査


紙面の大きさ順にならべると、


朝日新聞  2,933cm2
毎日新聞  2,788cm2
東京新聞  1,886cm2※
読売新聞  1,636cm2
産経新聞  1,053cm2※


となります。
東京新聞産経新聞は、10/2(火)の記事なので他と比べると1日遅いことは考慮しなくてはならないと思います。他紙と同じ日に発行だったらもっと大きな紙面になったのではないかと思います。


<ポイント1>
朝日新聞は、沖縄タイムス、QAB琉球朝日放送と共同で「沖縄県知事選 開票速報ライブ」という動画配信を選挙当日に行っていました。
(「沖縄県知事選 開票速報ライブ」 https://www.youtube.com/watch?v=dpANbFGiQoc
ここからも相当ちからをいれていたのが分かります。
この力のいれようが=調査の自信になったのでしょう、投票締め切り後20時すぎには朝日新聞は「当確」をだしていました。
NHKが当確を出したのは21:30頃ではなかったでしょうか。地元の沖縄タイムズ、琉球新報もそれくらいだったかと思います。
僕は20時頃からネットやテレビ、ラジオで沖縄県知事選の情報収集をやっていましたが、「朝日新聞が当確をだしている。でも他はどこも出していない。どういうことだ??これは信じられるのか?」と思い、それがますます情報収集意欲を掻き立てたのを覚えています。


<ポイント2>
「社説」でとりあげているのが、朝日新聞毎日新聞東京新聞の三紙。
紙面の大きさにも連動してとても分かりやすい形になっています。三紙は、紙面の大きさの1位、2位、3位です。安倍政権に批判的な三紙は「社説」でとりあげ、肯定的・擁護的な読売新聞、産経新聞はとりあげない。
佐喜真氏が勝っていたら読売新聞、産経新聞はとりあげたでしょうね。朝日新聞毎日新聞東京新聞もとりあげたと思いますが。
しかし、大新聞の読売新聞(皮肉ではなく、ページ数)が、小新聞東京新聞よりも紙面の大きさが下というのは何とも露骨な感じがします。


<ポイント3>
読売新聞、産経新聞に共通していることは「辺野古基地移設が最も現実的な方法」としていることです。辺野古基地移設を容認する人のロジックの鍵の部分を見た感じがします。
また、「基地負担の軽減」、「抑止力」という言葉も共通して使われています。