LACCO TOWER「五人囃子の新時代」@高崎市文化会館(9/8土)

ライヴの醍醐味の一つは、「あ、この曲こんなに良かったんだ」という‘気づき’に出会うことだと思っています。
それがあるライヴを僕は「良いライヴ」と規定していますが、この日のライヴは「良いライヴ」でした。


それは突然やってきました。何曲目でしょうか、キーボードのソロからはじまった「薄荷飴」。
この曲は最新アルバム『若葉ノ頃』収録の曲ですが、音源を聴いているときは‘影の薄い曲’というのが率直な印象でした。ライヴで大化けしていました。
バンド史上初のホールツアー初日だったこの日の会場は高崎市市民文化会館、キャパ700〜800のホールですが、これまでLACCO TOWERが主戦場にしてきたライヴハウスとの違いにも注目していました。
「薄荷飴」の時にその最大の違いの一つに気付くことができました。
照明です。
とにかく照明の懲りようライヴハウスの比ではありません。設備の問題もあるでしょうし、ステージの広さなどもあるのでしょう。その強みを存分に使っていました。
「薄荷飴」は‘和’の雰囲気も感じさせる曲なのですが、それにあわせるように照明も月やもみじ、和紙をモチーフにしたかのような和テイストのもの。それが曲によりはっきりとした輪郭をもたせ、存在感を音源の何倍にも高めていました。
思わず、「あ、曲がふくらんだ」と声にしてしまいました。


その後の流れは、「薄荷飴」がもたらした高揚感を一度も途切れさせない本当に見事なものでした。


「遥」(ギターソロからはじまり、ヴォーカル松川さんのアカペラ)
「雨後晴」
「狂喜乱舞」(ベース塩崎さん&ドラム重田さんのリズム隊協演からなだれ込む)
●●●●(忘れてしまいました。。しかしパフォーマンスは素晴らしかった!)
「火花」
MC
「愛情」
  アンコール
「花束」


最新アルバム『若葉ノ頃』のレコ発ツアーとして行われた初のホールツアー。
この日の高崎市市民文化会館からはじまり、名古屋、大阪、岐阜、東京と続きます。最後の東京の会場は2,000人キャパの昭和女子大学人見記念講堂です。過去にZepp DiverCity Tokyoや品川ステラボールでも単独ライヴをやっているLACCO TOWERですが、昭和女子大学人見記念講堂は過去最大のキャパでの単独ライヴでしょう。しかもホール。
それを端的な言葉で表現した人がいます。ベースの塩崎啓示です。彼はMCで「これは挑戦です」といいました。その含む意味はただ大きい規模で、ホールでライヴをやるということだけではないでしょう。今年16周年を迎えたバンドだけに、もっと幅の広い意味でしょう。
拍手喝采です。
どんどん挑戦してほしい。無責任にいっているわけでなく(いや、無責任ではあるのですが)、僕には確信があります。彼らがこの挑戦に打ち克つことを。
なぜなら彼らの楽曲はもはやライヴハウスで収まるものではなく、もっと広いホールであり、アリーナにも十分対応できるだろうからです。そのことをこの日のホールライヴで確信しました。
以前のライヴハウスでの彼らのライヴで時より感じた曲が発する‘息苦しさ’がこの日はまったくありませんでした。曲が喜んでいた、なんていう言い方はいささか文学的にすぎますが、でも本当にそんな感じを受けました。最新アルバム『若葉ノ頃』(もっといえば前作の『遥』から)は明らかに塩崎さんのいう「挑戦」を前提にした作品です。
いろんな意味で‘広さ’を意識したその作品群。この日のライヴはその作品群が「間違っていなかった」ことを証明するのに十分なものだったと思います。