「憲法を法案にあわせる」政党

参考人揃って「憲法違反」 身内“墓穴”に野党攻勢(06/05 11:49)


安保法制を巡り、手痛い失点です。衆議院憲法審査会で、民主党と維新の党がそれぞれ推薦した参考人憲法違反と明言しました。さらに、自民党などが推薦した参考人も「外国の武力行使と一体化する可能性が極めて高い」として憲法違反と断じました。安保法制の審議中に身内が墓穴を掘った形となり、野党側は勢い付いています。

 (政治部・安西陽太記者報告)
 民主党の辻元議員は早速、憲法審査会を盾に取って非常に深刻な事態だと、安保法制に対する政府の対応をただしました。


民主党辻元清美衆院議員:「与党推薦の参考人までも『違憲』であると。これは非常に深刻な事態だ」
中谷防衛大臣:「様々な角度からのご意見が開陳されたというふうに認識している」
民主党辻元清美衆院議員:「(憲法学者)3名が違憲と言ったことを受けて、法案は政府は撤回した方がいい」
中谷防衛大臣:「現在の憲法をいかにこの(安保)法案に適応させていけばいいのかという議論を踏まえて閣議決定を行った」


 一方、自民党参考人までが憲法違反という異常な事態に、高村副総裁自らが火消しに躍起になっています。
自民党・高村副総裁:「1954年に自衛隊をつくったが、その時、ほとんどの憲法学者が『憲法違反だ』とその当時、言っていた」
 順風満帆の政権運営でしたが、ここにきて安保法制や年金情報漏洩(ろうえい)問題のつまづきで、政府・与党には警戒感が出始めています。


テレビ朝日 6/5
http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000051933.html


※文中太字は筆者


上記のURLで動画も見ることができます。
そこから拝借した画像が以下のものです。



ちょっとびっくりするようなことを言っています。
「安保法案を作るために、それにいかに憲法をあわせるかを考えた」
と言っていますが、これって、安保法案どころか、内閣がふっとんでおかしくない発言だと思います。
解釈改憲」であったことを表明し、「自分たちの作りたい法案があれば憲法なんてあわせることができる」ということを語っているわけです。
本来なら、「法案を憲法にあわせる」べきです。
「べき」なんてわざわざ言う必要もなく、そういうものです、日本の制度では。
それを、「憲法を法案にあわせる」という、逆のことを彼らはしたのです。確かな自覚をもって。
改憲を望む人であろうが、非改憲を望む人だろうが、
「法案を憲法にあわせる」という現在の日本の制度を前提とすることが共有すべきルールでしょう。
改憲を望む人は、「法案を憲法にあわせる」というルールを認識しているから、
憲法を変更したいと思っているのでしょう。
もしそんなルールを無視してもよい、と思っているなら。
憲法なぞ変更する必要も感じないでしょう。
そこに価値があるからこそ、改憲をしたい、と思っているはずです。
改憲を望む人も同様のはずです。


「法案を憲法にあわせる」という行為は、憲法に対する価値を感じない人がとるものであり、
つまり、改憲を望む人の物言いではありません。
自民党改憲政党だ、なんていいますが、それは間違いです。
中谷氏の言葉からそう導き出さざるを得ません。
憲法なんかどうでもいい、自分たちの法案を実現したい」
そんな現在の日本の制度におけるルールに反する欲望を実現することを党是とした政党といったほうがいい。
改憲政党であるなら、憲法に対する敬意をもち、そこに絶対的な価値をおくはずです。
そうでないことが大臣の口から表明された今、
彼らの口から「改憲」という言葉がでるとき、それはただの欲望を実現したいだけの感情の発露であるといっていい。
「押し付けられた憲法を変えたい!」という、内容なんてどうでもいいただの自分の中に溜め込んだ憎悪の解消でしかない。
なにせ「憲法を法案にあわせる」政党です。
「内容なんていくらでも解釈でかえられる、法案次第で」と言っている政党です。
中谷氏の言葉で、彼らの言う「改憲」が、逆だった感情を収めるものでしかないことがよくわかりました。


改めて、


中谷防衛大臣:「現在の憲法をいかにこの(安保)法案に適応させていけばいいのかという議論を踏まえて閣議決定を行った」


日本の制度に反する言葉です。一線を超えましたね。