憲法が溶けていくようだ

1票の格差:福岡高裁は「違憲」…昨年の衆院選


1票の格差」が最大2.13倍だった昨年12月の衆院選法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、弁護士グループが選挙の無効を求めた訴訟で、福岡高裁(高野裕裁判長)は25日、小選挙区の区割りを「違憲」とする判決を言い渡した。九州5県25選挙区の選挙無効の請求は退けた。
(中略)
今回、二つの弁護士グループが起こした訴訟計17件で、これまでの判決は東京高裁が「合憲」とした一方、名古屋、大阪、広島の各高裁と仙台高裁秋田支部、広島高裁松江支部は「違憲状態」としていたが、さらに判断が分かれる結果となった。衆院選の「1票の格差」訴訟での違憲判断は、12年選挙に対する13年の判決で14件(うち2件は違憲・無効)出ている。


毎日新聞 3/25
http://mainichi.jp/select/news/20150325k0000e040278000c.html


昨年12月の衆議院議員選挙における「一票の格差」裁判についての記事になります。
今回は17件の訴訟が起こされているようです。
一票の格差についてはここ数年同じような報道を見ているような気がする、と思って調べてみたところ、2009年衆議院選、2010年参議院選、2012年衆議院選、2013年参議院選の4回連続で最高裁において「違憲状態」の判決が出ているようです。今回はまだ最高裁まで行っていませんが、今年中には最高裁判決がでるそうです。
ただ2009年より前も裁判自体は毎回のようにあったようですが、それらは「合憲」という判決だったようです。その前の「違憲状態」は、1992年の参議院選だったようです。17年間ずっと一票の格差について「合憲」であったのが、2009年に「違憲状態」に変わったというのが流れです。(1992年以前は「合憲」だったり、「違憲」「違憲状態」だったり混在しています)



wikiより。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E7%A5%A8%E3%81%AE%E6%A0%BC%E5%B7%AE
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今回の17件でも地裁において多くは「違憲」「違憲状態」になるのではないかと思います。(3/25現在、「違憲状態」が6件、「合憲」が1件となっています)
最高裁でも「違憲」「違憲状態」がでる可能性は高いのではないかと推測します。
ここ数年の最高裁の「違憲状態」判決に対して、2012年11月16日に国会で小選挙区の「0増5減」法が成立しました。
その結果が現在行われている17件の裁判なので、実質的な効果がなかったようです。
一連の裁判に注目していきたいと思います。



ここ数年、選挙のたびに「一票の格差裁判で違憲状態の判決が出ました」という報道が流れています。
恒例行事のような感もあります。
先に書いたように、2009年からですからもう4回の選挙、5年〜6年間です。
これだけの期間聞かされていれば、恒例のような気になります。
ただその恒例は、「違憲状態の判決」だけでなく、それに続くものも含めてです。
すなわち、「それでも大きな変化なく次の選挙も行われる」です。


違憲状態の判決がでても大きな変化なく次の選挙が行われる。


ここ数年、日本人はこのことを繰り返し経験しています。
そして繰り返しにより、その経験は平常のものになってきています。
冒頭に引用したような「一票の格差違憲状態」記事をみると、最近僕は不安になります。
なぜなら、判決に続く「それでも大きな変化なく〜」を思うからであり、
それは、「憲法など無視してもよい」というメッセージを日本人に送っているのではないかと思うからです。
国会が「無視」「軽視」を続けていながらそのことが問題にならずに選挙は行われる。
それを何年間も見せつけられていることの影響がどのような形であらわれるのか。
日本人の底流に「憲法無視・軽視」の念が溜まっていっても不思議ではないと僕は思います。
憲法が溶けていくようだ。
僕は日本人にとって憲法がそのような状態になることに恐怖します。
安倍政権になり憲法への侵害が様々な面で行われる中で、日本人がいかに日本国憲法によって守られているのかを僕は学んできました。そういう方も多いのではないかと思います。
その縁(よすが)が溶けることで何が起こるのか。
一票の格差」判決の報道に触れるたびに不安になります。