騒ぎ続ける

政府・与党は十六日、集団的自衛権の行使を容認する安全保障法制の関連法案を来年一月召集予定の通常国会に提出する方針を決めた。実際に審議が始まるのは二〇一五年度予算案の審議と四月の統一地方選の後になる見通しで、行使を容認する解釈改憲閣議決定からほぼ十カ月間、国民の前で議論が行われないことになる。


 安倍晋三首相は閣議決定を早期に行うよう与党協議を急がせ、結果的に七月一日に閣議決定が行われた。早い時期の閣議決定にこだわった一方で、実際の行使に必要な関連法案の審議を先送りする首相の対応の整合性が問われる。


 日米両政府は今年末に、自衛隊と米軍の協力について定めた防衛協力指針(ガイドライン)を再改定することで合意済み。関連法を国会で審議する前に、米国側に自衛隊の活動範囲や対象について枠をはめられてしまう可能性が高い。


 関連法の審議を統一地方選の後に先送りする背景には、強引に解釈改憲閣議決定した安倍政権に対する世論の強い反発がある。安倍政権は時間を置けば、世論の批判が多少は弱まると読んでいるのだ。統一地方選への影響を最小限にとどめる狙いもある。


 政府・与党は自衛隊法や周辺事態法など十数本の改正案を一本化して提出する方向で調整する。
 同じく十九本もの改正を一括した地域医療・介護総合確保推進法の審議で野党から「詰め込みすぎだ」と不満が出たように、議論が十分行われないことも懸念される。


東京新聞 7/17(木)朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014071702000147.html


政府が閣議決定した集団的自衛権容認に関する法整備のスケジュールについての東京新聞の記事です。
実に凄いことが書かれていますね。


【2014年】
7月 閣議決定
12月 日米ガイドライン再改定
【2015年】
4月以降 国会で審議開始


来年4月の統一地方選後に十数本の法律を一括して提出するという、
政府の姑息であり、不誠実さにもゲンナリさせられますが、
ここではそれ以上にゲンナリさせられることに焦点をあてたいと思います。
それは上記の簡易版スケジュールを見ればすぐ分かる、ことの順番についてです。
こんな順番あるでしょうか??
言葉を換えれば、


【2014年】
7月 日本政府
12月 アメリ
【2015年】
4月以降 日本の国会


ですよ。日本の国会よりアメリカとの協議の方が数カ月も早いのです。
国会とは何なのでしょうか? 日本国憲法で該当箇所を引用してみます。

   第四章 国会
第四十一条  国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
第四十二条  国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
第四十三条  両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。


国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。
さらに、全国民を代表する選挙された議員で組織するものである、と。
政府が想定しているとされるスケジュールは、端的に言って、この国会を無視すること甚だしいです。
つまり、それが意味することは、国の唯一の立法機関を無視し、議員を無視し、全国民を無視するというわけです。
なぜなら、国会で審議される前に、実質的に12月のアメリカとのガイドライン再改定で法の枠組みが決定されてしまう可能性が極めて、極めて高いからです。
その状態からいくら国会で審議したところで、これまで戦後の日本とアメリカの関係を見れば、日米ガイドライン再改定版から一歩もはみ出ることのない法律ができることでしょう。
しかしここまで露骨な形で日本の法律がアメリカによって規定される事象はこれまでにあったでしょうか?? 日本がアメリカの「属国」であっても、あくまでも「」付けのそれです。集団的自衛権容認の閣議決定、日米ガイドライン再改定、国会での審議という流れは、もう紛うことなき日本によるアメリカの属国であることの表明ではないですか。
これは集団的自衛権容認に賛成か、反対かの問題ではないですよ。
それ以前の問題ですよ。
アメリカへの従属を表明し、国会、国民を無視することも表明した政府でよろしいのか?」
という問題です。
保守だ、戦後レジームの脱却だ、自立した国家だの言っている人たちが、
「日本はアメリカの属国ですよ」と全力で叫んでいる、そのことについて、集団的自衛権容認への賛否の前に考えてみませんか?
どう考えてもおかしいでしょ。
集団的自衛権容認に賛成している人に聞きたいのですが、
こんなやり方を許していいのですか?
自分の賛成する法律が通るなら、どんな方法でも良いのですか?
仮に僕が賛成する法律でも、こんなやり方で立法化されるなら、大反対をします。
法律以前に、こんなやり方を「アリ」にしてはいけないのです。
こんなやり方を許してしまえば、まさにカオスですよ。
権力を持った者のやりたい放題な社会になります。
その社会は、極端なものから極端なものへ流れる極めてストレスの強いものになるでしょう。
政治家が自分の欲望を100%達成できてしまう社会は健全ではありません。
政治家に限らず、どんな人もですが、自分への疑いを持たない人は危険です。
そんな危険な人が欲望を全て満たすことができるやり方が許されるなら、当然その社会も危ういものになります。
そんな社会を作っても良いですか?
安倍内閣がやっていること、やろうとしていることは、そんな社会を作ることですよ。
権力を持てば何をやっても良い。そんな社会ですよ。
(ちなみに安倍内閣の施策を総合すると、「階級の固定化」というキーワードが見えてきます。これはまた別稿で)
集団的自衛権容認に賛成する人も、反対する人も、しっかり考えてほしい、と切に願います。


ただ一つ、来年4月以降とされている集団的自衛権に関する法整備の国会審議を意味のあるものにする方法があります。
それは、国民が騒ぎ続けることです。
「こんなやり方は、独立国家のものではない! 民主主義国家のものではない! 到底許せない!」
と騒ぎ、怒り続けることです。
その声が世論調査で70、80%になったら、いかに安倍内閣でも無視できないと僕は信じています。
アメリカも無視できないでしょう。
残念ながらそれしか方法は残されていないと思います。
しかし、方法はあるのです。
集団的自衛権容認の賛否に限らず、このやり方に対して騒ぎ続けましょう!!
自分たちで社会を守りましょう。