TIME誌 ― 安倍晋三に関する記事訳その4(最後)

天与の為政権


日本の基礎となる神話によると、天照大神の子孫である神武天皇が2,600年以上前に日本の皇室家を設立したという。それ以来、男性後継者による万世一系が日本の皇室を神という存在にしていった。(※訳者注:執筆者の誤解??訳者の誤訳??)神道はこの皇族コスモロジーを神格化していった。天皇の名を叫んで突撃していった神風特攻隊などによる神聖視された皇室の正統性が、戦時下の日本に付与されていた状況において皇室の神聖な役割は、国家の宗教的教義を腐敗させた。敗戦後の1946年、天皇裕仁は彼が神の化身であるという‘間違った概念’を破棄するという布告をだした。アメリカは、神道を国家的宗教としての象徴という位置から引きずり下ろすことに成功した。


 安倍が日本再生について語る時、それは度々経済的回復についてである。しかし、安倍政権においては隠された他の再生がある。それは日本政治に神道を復興させることである。安倍は議会において神道仲間を増やしている。それは自民党が政権に返り咲く前の152人から、今日では268人にもなっている。19ある大臣のうち16人がその一員である。民主党政権ではそのような人は誰一人いなかったが。「安倍首相は戦後体制からの脱却、日本再生を主張している。そして私たちはその考えを共有している」と、公益財団法人日本宗教連盟事務局長であり、父親が靖国神社宮司を務めた湯澤豊は言う。昨年秋、安倍は80年以上の歴史において神道の最も神聖な祭礼に在職時に参加した初めての首相となった。それは皇室の祖先である天照大神を祀る祭礼である。今年の主要な演説において、彼は神道の用語で日本を讃えた。


 国家の大元を作った古の祖先を崇拝することは何も悪いことではない。しかし、神道復活を推進する政治家たちは、太平洋戦争における日本の責任について言葉を濁す。A級戦犯が合祀された後の1978年に、保守的要素に乗っ取られたかのような状態に抗議するかのように靖国神社に行くことをやめた天皇裕仁の行動は教育的なものである。日本の戦時の歴史的過去に対しての不安定な態度は、度々ホロコーストに対する謝罪を行い、大虐殺の記念碑設立を支援するドイツの態度と比較される。中国は、日本が第二次世界大戦に関して悔い改めることはない、と言う。安倍はその言葉に反論する。「前の戦争において、日本は多大なる被害を与え、多くの国の人々に対して危害を加えた。特にアジアの人々に」と。さらに、「これまでの総理大臣も謝罪の意を表明してき、私の第一次政権時もそれを踏襲した」と続けた。


 しかし、安倍の批判者は、彼の思想は歴史否認にあると指摘する。昨年安倍は、ベストセラー作家であり南京大虐殺従軍慰安婦の軍による強制はなかったと主張する百田尚樹と共著を記した。「日本人は国家、国旗、国歌に対して素直な気持ちになれない」と、神風特攻隊のパイロットの葛藤を描いた小説が400万部も発行され、その映画も大ヒットさせた百田は言う。さらに「安倍さんは国家の誇りのような基本的なことを復活させようとしているのである」と。


 安倍は一体どこまで遠くにいくつもりなのだろうか? 「私はとても心配している」と古賀元自民党幹事長は言う。「私は安倍さんに聞きたい。あなたは戦後体制からの脱却を主張するが、それは日本のこれまでの平和外交が失敗であり、日本を戦前のような雄々しい国家にするということですか?と」また、上智大学教授で政治学者の中野晃一は、安倍の政治を地理的文脈で解釈する。「東アジアの国々はお互いがお互いを必要としているのです。安倍、習近平金正恩、朴槿惠による話し合いが必要です。」と彼は言い、「国内政治を優勢な状態にするために、それぞれが‘敵’を利用している。これは大変危険なゲームです。」


 実際、安倍の国内での人気は、彼が中国に匹敵する国として日本を存在させることを証明することにかかっている。長年のリーダーシップ不足の首相が続いた後、日本は世界からその意見が注目される首相を持つに至った。問題は、安倍の愛国心による行動が日本国民の心情をしっかり描ききるかである。もちろん、勇敢な指導者たちは、国民の要求を受け入れるずに彼らをしっかり導くことができる。「私が正しいと信じたことを実行することで、私は時々批判を受けます。」と安倍は言う。悔い改め頭を下げることは、日本の愛国者を代表する人間のスタイルではないようである。(了)



http://d.hatena.ne.jp/narumasa_2929/20140502/1398961827
http://d.hatena.ne.jp/narumasa_2929/20140504/1399134862
http://d.hatena.ne.jp/narumasa_2929/20140508/1399478496