戸田書店来訪日記 26/4/27(日)

 戸田書店高崎店は、入り口から右側にレジ、左側に雑誌棚が目に入る。レジは手前から奥に向かって5台くらいだろうか。スタッフの人たちがうごめいている。雑誌棚はそのレジに対して縦に3列程通っている。ちょうどレジと雑誌棚でT字のような形だ。レジと雑誌棚の間に歩くスペースがあるが。
 僕がお店に入ってまず向かうのが雑誌棚だ。スポーツやビジネスやコンピューターや、たくさんのコーナーがある。3列程の雑誌棚をそれぞれ端から端までヘビのようにニョロニョロしながら通ってもそんなに手に雑誌を取ることはなく、「そういう話題が世の中にあるのかあ」という感想を得るためがメインの目的だったりする。この日もそんな経路をたどり、いつも必ず立ち寄るハードカバーの小説コーナーへ。平積みと棚で構成された黄金スペース。ハードカバーはそれだけで手に取ってしまう魅力がある。何だか触りたくなる。それがまた触り心地が良いものだと意味なくパラパラしてしまう。この日もやっぱりパラパラする。小林秀雄著『読書について』(中央公論新社)。この本は何といっても18.2 x 11.8 x 2 cmというサイズがよい。数字じゃよく分からないが、片手で持ててポケットに入るくらいの大きさ。こういうサイズのハードカバーを見つけると、無性に触りたくなる。それは理由を言語化できる以前の柔らかな感情によるのだと思う。なぜだか理由を語ることができないのだからそうとしか言えない。その欲求に抗うことなく片手で持ったり、両手で持ったりして一時を過ごす。
 その後、この日のお目当ての本を探しにさらに奥に行く。この日は、東京新聞著『読むための日本国憲法』(文芸春秋文庫)、竜田一人著『いちえふ―福島第一原子力発電所労働記―』(モーニングKC)がお目当て。まずは『読むための日本国憲法』を探しに文芸春秋文庫棚にいったが、どこをどう探してもない。棚を行ったり来たり2往復。「売り切れかなあ」と思いつつも、こういう本が売り切れる状況はなかなか好きだ、という入り混じった気持ちのまま検索機に頼ることにした。あっさり発見。文庫の平積みコーナーにあったようだ。場所を確認し、先に検索機の近くの漫画コーナーで『いちえふ―福島第一原子力発電所労働記―』を探すことにした。『いちえふ―福島第一原子力発電所労働記(1)―』は漫画である。帯コピーに「‘フクシマの真実’ではなく‘福島の現実’を描く」とある漫画。なかなか見つからない。メディアでも話題になっていて、実際に売れているようだからこれこそ売り切れかな、と思いつつ、再び検索機へ。在庫はあるようで、さらに直前に探していたエリアにあるようだ。再度探すと特等席のような場所に平積みされていた。「話題作なんだからポップくらいだしておけばいいのに」と一瞬思ったが、すぐ横にしっかりポップはあった。ぐふ。
ぐふぐふしながら『読むための日本国憲法』の場所へ。即発見で手に取りレジへ行こうとしたが、すぐ横に與那覇潤著『中国化する日本』(文芸春秋文庫)が目に入った。「おお、文庫化してたのか!」と一瞬で高揚してパラパラと。中身と値段を考えながら5分くらいパラパラしていたが結局購入することにした。高揚しても5分悩むのである。その悩みに終止符を打ったのは著者の與那覇潤さんが、内藤湖南著『支那論』(文春学藝ライブラリー)の解説を書いていたのを覚えていたからだ。高揚とはあまり関係のないのもまた一興。
レジで会計を済まし本の重さを感じながら駐車場へ向かった。


この日の購入本
東京新聞著『読むための日本国憲法』(文芸春秋文庫) 630円
竜田一人著『いちえふ―福島第一原子力発電所労働記―』(モーニングKC)580円
那覇潤著『中国化する日本』(文芸春秋文庫) 700円