集団的自衛権解釈変更に反対します


元日の東京新聞に特集「平和憲法 岐路の年」という記事が掲載されていました。
「2014年は戦後日本の平和を守ってきた憲法の危機の年になる」
という認識のもと組まれた特集のようです。
それは、昨年より続くものです。
12月に成立した特定秘密保護法はそれ自体単独で存在するものではなく、
上記の‘危機’を形成する一部であると僕は考えています。
今後の安倍内閣の意図するものを実行するための一里塚と言えると思います。
当面の安倍内閣が意図するものは、集団的自衛権解釈改憲でしょうか。
東京新聞特集でも、集団的自衛権の解釈変更について書かれています。



安倍内閣の特徴をあげるなら一つに、「簡易改憲」が頭に浮かびます。
「簡易改憲」という言葉は僕が勝手に考えたものですが、
正式な改憲手続きではなく、解釈を変更したり、法律での擬似改憲をするなどで、
実質的な改憲を果たすことの意味です。
例えば特定秘密保護法は、


憲法21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
憲法62条 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。


を害する可能性のあるものと僕は考えますし、
国家安全保障会議(日本版NSC)は、先日の韓国軍への弾丸1万発供与で明らかになったように、


憲法9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、黒鍵の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。


に関連する可能性のあるものですし、集団的自衛権の解釈変更は言うまでもなく、
憲法9条を無効化させ得るものです。


憲法改憲が面倒とみたのか、このような「簡易改憲」をもっぱらの業務とするのが安倍内閣です。


さらに付け加えるならば、上記全てであり、そのやり方から生まれる法律、解釈変更は、


憲法98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
憲法99条 天皇又は殺生及び国務大臣、国会議員、裁判かその他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。


という二つに抵触するものと思います。
立憲主義国家の内閣として、極めて不誠実な態度に思えてなりません。



閑話休題


冒頭にあげた東京新聞の特集「平和憲法 岐路の年」では、集団的自衛権の解釈変更を厚めに扱っています。
「政府・与党への取材などを基にした予測と可能性の日程」として、
集団的自衛権の解釈変更のタイムスケジュールが掲載されています。


3月  2014年度予算が成立
4月  安倍首相の有識者懇談会が集団的自衛権の行使容認を報告
   安倍政権が行使容認へ向けた議論を開始
夏  安倍政権が解釈改憲による行使容認を決定
秋  安倍政権が行使容認の関連法案を国会に提出
12月 日米がガイドラインを再改定


となっています。
一つ付け加えるなら、4月に米オバマ大統領が来日予定のようなので、それも大きく関わってくると思います。
昨年の読売新聞にも、「夏に集団的自衛権解釈改憲」とありました。
今からですと、半年ちょいといったところでしょうか。
特定秘密保護法案反対の始動が遅かったことを反省として、
この集団的自衛権の解釈変更に関してはすぐにでも反対を始めなければと思っています。
以前にも集団的自衛権について書いたことはありますが、
今回を仕切り直しの第一弾としてUPします。


まずは言葉の意味の確認から始めたいと思います。
とても大切なことです。
東京新聞の特集「平和憲法 岐路の年」より転載します。



集団的自衛権
他国から武力攻撃を受けたとき、自分の国を守るために反撃するのが個別的自衛権集団的自衛権は、自分の国ではなく、同盟国など密接な関係にある国が攻撃された場合、一緒に戦う権利のこと。身近な例えで考えると、友人が他人に殴られるのを見たとき、自分は無傷でも、友人を助けるためなら他人に暴力を振るってよいということだ。
 集団的自衛権は、国際条約である国連憲章が認めている。日本政府も、権利は持っているとの立場。ただ、集団的自衛権を理由にした武力の行使は、戦争放棄と戦力の不保持を定めた憲法9条の存在から「許容された必要最小限度の範囲を超える」と解釈し、一貫して禁じている。
 国連には、多国籍軍など武力行使を伴う「集団安全保障」の枠組みもあるが、日本は集団的自衛権と同じ理由で自衛隊の参加を禁じている。



解釈改憲
国会による発議や国民投票など、正式な改憲の手続きを経ずに、解釈の見直しによって改憲に近い変更をもたらすこと。集団的自衛権の問題に当てはめれば、憲法9条には手を付けずに政府の判断で解釈を変え、これまでの「禁止」から「容認」へと転換させることを言う。解釈改憲は一般用語だが、安倍政権が行使容認を目指しているため、この問題の代名詞のようになっている。



<武器輸出三原則>
冷戦時代の1967年に政府が定めた方針。?共産圏諸国 ?国連決議で武器輸出が禁じている国 ?国際紛争当事国 ―への武器輸出はしないと決めた。76年には三原則以外の国・地域へも「輸出を慎む」と範囲を広げ、全面的な近油脂制作として受け継がれてきた。安倍政権は昨年12月に閣議決定した国家安全保障戦略で、防衛産業の育成などを狙って輸出基準を緩和する方向性を打ち出した。



ガイドライン
冷戦下の1978年、日米が交わした約束事で「日米防衛協力指針」の通称。他の国から日本が攻撃されたときのために、自衛隊と米軍の役割分担を整理した。冷戦後の97年に見直され、日米両政府は昨年10月、17年ぶりに再改定することで合意した。再改定のメドは2014年末。集団的自衛権の行使容認をにらみ、自衛隊の能力、役割を拡大させる方向で議論が進むと見られる。



<積極平和主義>
世界の平和と安定に積極的に貢献するという安倍首相の外交・安全保障政策の基本姿勢。首相が目指す集団的自衛権の行使容認と密接な関係がある。国際紛争の解決に積極的にかかわっていく姿勢を強くにじませているのが特徴。政府が昨年12月、武器輸出三原則の枠を超え、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)で、武器としては初めて他国軍に銃弾1万発を提供したのは一例となった。




これらを確認、理解することから、集団的自衛権の解釈変更に対する反対言論を始めたいと思います。