安全保障関連法案を「知ること」


本日、安全保障関連法案についての会合があり、そこで政府が自民、公明党に見解を示し、
両党はそれを了承し、それにより与党協議が決着したとのことです。
5月14日か15日に閣議決定、その後国会提出というスケジュールを予定しているようです。
昨年7月1日の集団的自衛権行使容認の閣議決定が行われてから約10ヶ月、法案として形になったようです。がしかし、この間一連の報道をおってきたつもりですが、ほんとうによく分かりません!!
人々に嫌気を差させることを意図してわざとややこしくしているんじゃないか? と僕は邪推していますが、それに対抗するには、とにかく「知ること」だと思います。
何か新しいことを生み出す必要もなく、とにかくただ事実を知ること。
そのことを目的として、現在までに確認できることを端的にまとめたいと思います。


まずは、関連報道を確認します。

安保法案で自公、政府見解を了承…与党協議決着


政府は27日、国会内で開かれた自民、公明両党の「安全保障法制整備に関する与党協議会」の会合で、安保関連法案に関する政府の統一見解を示した。
自公両党は主要な条文案と合わせて了承し、与党協議は事実上決着した。政府は5月11日の会合で法案全文を示し、同14日か15日に閣議決定したい考えだ。
 政府見解は「基本的な考え方」と題し、法案に盛り込まない解釈などを明記した。周辺事態法を改正する重要影響事態安全確保法案については、「地域をあらかじめ特定することは困難」として地理的制約がないことを明確にした。これまでは、1999年に小渕首相が国会で、中東やインド洋で自衛隊が活動することは「想定されない」と答弁したため、事実上、地理的制約があるとされてきた。


読売新聞 4/27
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150427-OYT1T50129.html?from=ytop_ylist

安保法制 主要条文案 異論出ず 政府、与党協議に提示


政府は二十四日午前、安全保障法制に関する与党協議で、他国を武力で守る集団的自衛権の行使を可能とする武力攻撃事態法改正案など関連法案の主要条文を提示した。自民、公明両党から異論は出なかった。政府は計十本の現行法の改正を一括改正法案とし、軍事活動中の他国軍を支援する新たな恒久法「国際平和支援法案」と合わせ、国会に提出する方針を説明した。
(後略)
※文中赤太字は筆者


東京新聞 4/24
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015042402000254.html


東京新聞の記事にある、計十本の現行法の改正を一括改正法案と新たな恒久法「国際平和支援法案」を確認することが最も重要なことと思います。



産経新聞より)


新法「国際平和支援法」と現行法十本の詳細になります。
現行法十本は一括改正法案として扱われると東京新聞の記事にはあります。
この中でも特に重要だと思われるのが、


【新法】国際平和支援法
3、重要影響事態法(周辺事態法より変更)
5、武力攻撃事態対処法


の三つです。報道の中心になることが多いです。

【新法】国際平和支援法


国際社会の平和と安全などの目的を掲げて戦争している米軍、他国軍を後方支援できるようにする法律。(恒久法)


<国会承認>
例外なく事前承認が必要

3、重要影響事態法(周辺事態法より変更)


そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態において、米軍、他国軍を後方支援するための法律。現行の周辺事態法では自衛隊の活動が日本周辺に限られていたが、活動範囲を広げる内容。


 ◆重要影響事態で米軍や他国軍に支援できる内容は?
 周辺事態法改正案の別表1
 補給、輸送、修理及び整備、医療、通信、空港及び港湾業務、基地業務、※宿泊、※保管、※施設の利用、※訓練業務 (注)※は新設の支援内容


朝日新聞
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11721259.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11721259



● 地理的制約はない!地球上、どこでもいける
日本の平和と安全に重要な影響を与える「重要影響事態」で想定する地域については、「中東やインド洋もあらかじめ排除できない」として、自衛隊の海外派遣に地理的制約はないと説明した。


毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20150428k0000m010088000c.html


<国会承認>
基本的に事前承認だが、緊急時は事後承認も可能

5、武力攻撃事態対処法


集団的自衛権に直接関連する法律。
昨年7月の閣議決定で挙げられた新3要件


(1)密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命などの権利が根底から覆される明白な危険がある
(2)国民を守るために他に適当な手段がない
(3)必要最小限度の実力行使


を満たす事態=「存立危機事態」において集団的自衛権を発動できるようにする。


<国会承認>
基本的に事前承認だが、緊急時は事後承認も可能


以上、3つの法案を簡単に確認しました。
新法の国際平和支援法と、重要影響事態法は、他国軍の後方支援をするための法。武力攻撃事態対処法は、集団的自衛権に関わる法、となります。
もうひとつ、国際平和維持活動(PKO)協力法の変更点も確認しておきます。

2、国際平和維持活動(PKO)協力法


国連が関与しない治安維持や停戦監視活動などを「国際連携平和安全活動」と規定し、参加できる。
自衛隊武装勢力に襲われた他国部隊などを助ける「駆け付け警護」も認める。
産経新聞 4/17
http://www.sankei.com/politics/news/150417/plt1504170030-n1.html



◆国連が統括しない治安維持活動は?
3条2項 (イ)武力紛争の停止の合意があり、当該活動が行われる地域の属する国及び紛争当事者の同意がある場合に実施される活動(ロ)武力紛争が終了して紛争当事者が当該活動が行われる地域に存在しなくなった場合において、当該活動が行われる地域の属する国の同意がある場合に実施される活動(ハ)武力紛争がいまだ発生していない場合において、当該活動が行われる地域の属する国の同意がある場合に、武力紛争の発生を未然に防止する活動


国際連携平和安全活動を、紛争当事者間の武力紛争の再発の防止に関する合意の順守の確保▽紛争による混乱に伴う切迫した暴力の脅威からの住民の保護▽武力紛争の終了後に行われる民主的な手段による統治組織の設立及び再建の援助などを目的として行う活動、と定義。これまで国連が統括する人道復興支援に限られていた自衛隊の活動を、治安維持任務まで広げる。


朝日新聞 4/24
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11721259.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11721259


簡単にまとめたつもりでもとても分かりにくいように思えます。
下記の産経新聞のQ&Aは分かりやすいと思います。(言葉遣いには要注意)
僕もよく理解できていない部分もあり、上記は誤りがあるかもしれません(もしお気づきの点がありましたらご指摘お願いいたします!)。
ただ「分からない」で見過ごしていると大変なことになるので、少しでも「知ること」を実践して、
政府、与党が安全保障関連法案に関して嫌がる(だろう)ことをしたいと思います。

Q&A 安保法制 政府の主要条文案
産経新聞 4/25
http://www.sankei.com/politics/news/150425/plt1504250010-n1.html



毎日新聞より




朝日新聞より