次期衆議院議員選挙について


本日の記者会見で安倍首相は、衆議院の解散と、12/14投開票での選挙を発表しました。
すでに既成事実かのように語られて久しい感のある昨今において、何の驚きもなく報道を見ました。
言うこともだいたい予想がついたのでろくに見ずに、野球をみながら健さんのニュースを待っていましたが。


あと一ヶ月です。
先々週あたりから衆議院解散&選挙はさまざまなところで報道されていました。
その多くで「この選挙には大義名分がない」、「なぜ今解散なのか分からない」ということが語られ、
有権者の声としてもそれらが殊さら取り上げられていました。
本日のテレビのニュースでも相変わらず有権者の声としてそれらが紹介されていました。
そんなわけで世の中では、次期衆院選は「よくわからない選挙」となっているようです。
確かに僕も何で解散して、選挙になるのかよく分かりません。
安倍氏がいう解散&選挙の理由は、

「本日、私は、消費税10%への引き上げを、法定通り来年10月には行わず、18カ月延期すべきであるとの結論に至りました」、「そして、国民経済にとって、重い重い決断をする以上、速やかに国民に信を問うべきである。そう決心いたしました」


http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20141118-00000039-fnn-pol


ということのようです。
消費税を10%に上げるのを延期したので、それを国民に問いたいそうです。
野党も消費税引き上げに反対しているのが重々分かっている状況で、それと同じ判断をしたことを国民に信を問う、ということのようですが、他の党も反対のなか、つまり対立構造がないなかでどうやって問うのかよくわかりませんし、
そもそも消費税を10%に引き上げるのは景気状況を勘案することが決められていますので、消費税引き上げを延期することは何の公約違反でも、国民を裏切る行為でもありません。上げてほしい、上げてほしくないというそれぞれの意見をもつ人がいるのは確かですが。

経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、消費税率引上げの前に、経済状況等を総合的に勘案した上で、消費税率の引上げの停止を含め所要の措置を講ずることとされています。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/201303.pdf


特に延期したからといって問題ない消費税引き上げを国民に問うなら、
外交、安全保障、そして国の在り方に関わる集団的自衛権の解釈変更をすることについて、6月の段階でに解散して選挙をするべきではなかったのかと言いたい。
そういった意味でも、僕には安倍氏の解散理由はよく理解できません。
「今解散すれば大して議席も減らさずに勝てるから」という彼の思惑は理解できますが。


ただ、よく分からないからといって、「よく分からない選挙」にしてはならない、と僕は考えています。
それを、世の中で最も共有されている理解の仕方、としてはならないと思うのです。
どういうことかと言うと、テレビやラジオ、新聞などが、延々と報道する
「この選挙には大義名分がない」、「なぜ今解散なのか分からない」
というものを次期選挙の枕詞にしてはならないのではないか、ということです。
なぜなら、その枕詞は報道を受ける人たちに、
「今回の選挙はよくわからなくていいんだ」
という心理的影響を与えてしまうからです。そしてただ与えるだけでなく、その結果、
「よくわからないんなら、選挙に行く必要もないな」
という、恐ろしく退廃的な行動を国民にとらせてしまうことが推測されるからです。


現に僕の周囲の人で普段は安倍氏に反対的意見をもつ人が、
「今回の選挙はよくわからないから、白紙で投票しようと思う」
と、それこそよくわからないことを言うのを聞きました。
「そんなものは安倍氏への白紙委任じゃないか。はっきりNOを言わなきゃだめだ」
という話をしたら納得していましたが、正直驚きました。
普段明確な意見、考えを持っている人でも、日々の報道に流されてしまうことをリアルタイムで感じることに驚きました。そしてそのような報道の力を思い知りました。
このような理由より、次期選挙を「よく分からない選挙」にしてはならないのです。


よく分からないなら、分かるようにすればよいと思います。
自分で争点を作ればいいだけです。
安倍氏のいう争点に乗る必要なんか全くない。そもそもそんなものなかったし。
僕は次期選挙を、
「安倍政権の是非」
という観点からみます。約2年間の安倍政権を判断するわけです。


アベノミクスという経済政策 ⇒ 数字のみに拘泥する株価操作、物価を上げるだけの「芸のない」インフレ
集団的自衛権容認について ⇒ 解釈改憲の是非
特定秘密保護法の是非
原発再稼働、原発輸出の是非
東日本大震災被害地域の復興について
福島第一原子力発電所の対応の是非
日銀総裁NHK会長・経営委員、原子力規制委員、内閣法制局長官などの、幼児的な人事
● 武器輸出三原則緩和の是非


など、安倍政権がやってきたことは数多くあります。
これらをひっくるめて、安倍政権はYESかNOか。
この極めてシンプルな争点でもって選挙を考えればいい。
その中で、「安倍政権はどうだろう?」
共産党に入れるのと、自民党に入れるのはどちらがいいだろう?」
「諸手を挙げて賛同できる候補者はいないけど、自民党と比べてよりマシな候補者はいないか?」
などを自分なりにあれやこれややればよい。
「安倍政権の是非」は僕が考える争点ですが、
何でもいい、とにかく「よく分からない選挙」にしないように、争点を設定することが極めて重要になります。
ここでお願いです。
このブログを読まれた方に、内容に共感いただけるなら、周囲の人、3人でも5人でもに、争点の設定を促したり、争点の提案をしていただきたいのです。
僕はこれまで書いてきたブログでも明確に表明していますが、反安倍政権の考えを持っています。
政策もですが、それ以前に彼らのやり方を許容することができません。
これまでの慣習を無視し、異常な人事で禁じ手を連発し、他人の話を聞かないだけでなく愚弄・嘲笑し続ける彼のやり方に嫌悪すら覚えています。
しかし、争点を促した結果、「安倍政権いいよね」という結論に達し、選挙に行くのでも、それはそれで結構なことです。
とにかく、「よく分からない選挙」として次期選挙がとらえられ、世の中で定着することだけは避けなければと思っています。僕は避けたい。
「よく分からない選挙」からの棄権、白紙党票という無気力な、無関心な、虚無的な態度、心境で時間を過ごすようなタイミングでは、現在はない、と僕は思うからです。
そのために、現在メディアでしばしば報道される「よく分からない選挙」説に乗らずに、とにかく争点をどんな方法でもいいのでみつけてほしい。


また、「よく分からない選挙」説をふりまくメディアにも一言。
メディアの役割には、事実を伝えるだけでなく、受け手を政治や社会へ参加することを促すものもあるはずです。
「この選挙には大義名分がない」、「なぜ今解散なのか分からない」ということを繰り返すことで、
その役割を放棄するようなことをしてほしくない、と切に願います。