ボートマッチ「エラボート」


毎日新聞の「エラボート」というサービスが興味深いです。
http://vote.mainichi.jp/


参院選候補者へのアンケートと同様の設問に答えると、政党や候補者との考えの一致度が分かる」サービスです。
同様のサイトやサービスはけっこうありますが、
細かさやデータの使い方、サイトデザインなどを総合すると、
僕はこのサービスが一番好きです。


このサービスに関する毎日新聞の記事です。

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毎日新聞がインターネット利用者向けに提供しているボートマッチ「えらぼーと」(http://vote.mainichi.jp/)では、参院選候補者へのアンケートと同様の設問に答えると、政党や候補者との考えの一致度が分かる。設問ごとにそのテーマに対する関心度を「高い」「やや高い」「普通」から選ぶようになっており、集計した結果、えらぼーと利用者は「憲法改正」「原発」への関心が高い傾向にあることが分かった。


 公示前の7月1日から15日午前までにえらぼーとを利用した6万2834人の回答を集計。憲法改正への賛否を聞く設問の関心度では「高い」を選んだ人が31%、「やや高い」が16%で、合わせると全体の半数近くを占めた。原発が必要かを尋ねる設問でも合わせて4割を超える一方、「消費税引き上げ」や「アベノミクス」に関する設問では4割に届かず、「年金」については3割を下回った。


 一方、毎日新聞が13、14日に実施した電話による全国世論調査では、参院選で最も重視する争点として「年金・医療・介護・子育て」が29%、「景気対策」が26%と、暮らしにかかわるテーマを選んだ人が多く、「原発・エネルギー政策」は8%、「憲法改正」は6%にとどまった。


 調査方法が異なるため安易な比較はできないが、ボートマッチに参加するほど政治に関心のあるネット利用者は、政党間の主張の対立がはっきりしている原発憲法のようなテーマに関心が向きやすいと言えそうだ。


 ツイッターの投稿分析でも「原発」に関心が集中し、「憲法改憲」への関心も比較的高い状況が続いている。能動的なネット利用者に共通する傾向とも言える。【石戸諭】

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新聞やテレビなどの調査では、憲法原発などよりも、
経済や年金医療、少子化対策などが有権者に注目されている、とありましたが、
「エラボート」では原発憲法の注目度が高いようです。
先日話題になった「ツイッターので関心度」でも原発が圧倒的に高かったですね。


僕も「エラボート」使ってみました。
自分が答えた項目に対する全体の傾向を見ることができるのですが、
いわゆる‘アベノミクス’に対しては否定的な意見の方が多いようです。


Q.「アベノミクス」で雇用や所得が増えると思いますか?
に対し、
思  う   :25.5%
思わない   :44.9%
どちらでもない:29.4%


また、TPP参加に対しては賛成、条件付き参加、反対がほぼ拮抗しています。


Q.TPPに参加すべきだと思いますか?
参加    :32.2%
条件付き参加:34.7%
不参加   :33%


格差是正、経済活動の自由についての質問では格差是正を求める方が多いようです。


Q.社会の格差是正にもっと取り組むべきだと思いますか、それとも経済活動の自由を重視すべきだと思いますか?
取り組むべき:59.8%
経済活動重視:40.1%


憲法関連の質問では、ほぼ自民党の方向性は否定されている割合が高いです。
96条改憲にいたっては、
賛成:28.5%
反対:71.4%
と新聞やテレビなどで見る数字とは全く違った、より鮮明な反対色が出ています。



自民党が嫌いでこれを書いているわけではなく(笑)、
マスコミ、世間であたかも既定路線になっている「自民党圧勝」というものが、
本当にそうなの?? という疑問を「エラボート」の様々な数字を見て思ったので、
書いてみました。
大手新聞やテレビ局が実施する世論調査安倍内閣支持率は、
60%前後の依然高い水準にありますが、
その最大の理由は経済政策にあると思います。
しかし、その評価されているだろうと推測される部分(アベノミクス)が、
「エラボート」の中では44.9%の人に否定されているわけです。
明確に評価しているのは、25.5%です。
安倍内閣の評価されている中軸が見事に否定されているこの数字は、
実に興味深いです。


この数字傾向の違いは、端的にいって、
大手新聞やテレビ局が実施する世論調査 : 調査を受ける人が受動的
「エラボート」などのサービス     : 調査を受ける人が能動的
によるものだと思います。


「エラボート」などのサービスは、自分からそのサービスにいって、
調査を実施するので、政治への問題意識を持った人たちの数字が出るのに対し、
世論調査は政治への問題意識の有無は関係なく、すごく意識がある人もいれば、
全くない人もいるものなので、言い方がよくわかりませんが、雑多な数字が出るものだと思います。
「国民」という観点から言えば、世論調査の方がそれにあたると思います。
「選挙」という観点から言えば、もしかしたら「エラボート」などのサービスの方が
正確なのかもしれません。
なぜなら、「エラボート」などのサービスは、先ほども書きましたが、
政治に対して問題意識を持つ人たちが集まるわけで、
それは当然投票に繋がるからです。
恐らく、かなりの確率で「エラボート」などのサービスに回答する人は、
投票に行くのではないでしょうか。
「エラボート」で言えば、アベノミクスについて
賛成:25.5%
反対:44.9%
という数字は高い確度で投票行動に反映されるのではないでしょうか。
対して、世論調査の方は、根拠のある検証ではありませんが、
恐らく投票率くらいの(50〜60%くらい)人が投票に行くのではないでしょうか。
言葉を換えれば、世論調査の4、50%くらいは選挙に行かないと思われるので、
世論調査の結果が反映される確度は割り引いてみる必要があるのかもしれません。


実際どうなるのでしょうか。


僕の実体験ですが、
働いている会社の社長は、自民党一辺倒のようで、
社内にも「山本一太」というポスターが貼ってあります。
特に投票してください、とゴリ押すことはありませんが、
にこやかに訴えているようです(笑)。
それを「忖度」して投票する社員の人もいるのかもしれません。
こうやって、群馬県の自民王国は守られているのか、
と感じた暑い盛りであります(笑)。
世論調査とか「エラボート」とか関係ないとこでも
当然投票行動があるのを感じることができました。