‘豊かさ’の質の変容

自民党公明党が政権に復帰し、活発な活動をしているようです。

「沸く自民党 経済対策20兆円」朝日新聞 1/10(月)
http://digital.asahi.com/articles/TKY201301090562.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_TKY201301090562



自民党が総額20兆円規模の緊急経済対策に沸いている。議員からは公共事業の上積みを求める大合唱が起き、党本部には業界や自治体の陳情団が列をなす。ただ、公共事業の財源は大半が借金頼み。財政悪化への懸念から、「古い自民党の復活と見られかねない」と自重を促す声も上がる。


 9日夕、自民党本部で開かれた農林部会で、農林水産省関連の今年度補正予算案の総額が1兆39億円となることが固まった。


 農水省が前日の部会で示した額は9909億円だったが、農水族議員が上積みを要求。1日で100億円以上積み上がった。小里泰弘部会長は9日の部会で「現場のニーズを踏まえた金額だ。先生方のご意見を踏まえた」と胸を張った。


 景気回復を最優先課題に掲げる安倍政権は8日、総額20兆円規模の緊急経済対策の骨子案を発表。28日に召集される通常国会の冒頭では、13・1兆円の補正予算案の早期成立を目指す。補正予算案のうち5・3兆円は公共事業に使う方針で、7日から始まった自民党の各部会では、族議員らが連日、政府に予算案への要望を突きつけている。


 7日の国土交通部会では、建設族議員が「八ツ場(やんば)ダムやスーパー堤防の予算を補正で組むべきだ」「民主党時代の停滞を取り戻せ」と声を張り上げた。
 政府の大盤振る舞いに呼応するように、党本部には業界団体や自治体関係者が陳情に押しかける。


 9日午後、党本部にひしめく陳情団らをかき分けて会議室にたどり着いた額賀福志郎・党税調小委員長は「各界の代表者が並んでいて、久しぶりだなあという思いがした」と笑顔。党のスタッフは「野党に転落してしばらくは陳情はほぼ皆無だったが、参院選で国会がねじれてから少し増え、昨年12月の総選挙後にがつんと増えた」と話す。


 活気づく党内からは懸念の声も出始めた。高村正彦副総裁は9日、記者団に「景気がよくなり税収が増えたからといって、もっと公共事業をやろうというのはとんでもない話だ」と述べ、公共事業の乱発に釘を刺した。国交部会では「ばらまきの印象を与えると参院選に悪い影響が出る」との声も上がった。


 2009年の衆院選では、公共事業に重点を置く自民党の経済対策を批判して「コンクリートから人へ」と訴えた民主党に政権を奪われた。安倍晋三首相の側近議員は「道路族が言うような高速道路の徹底整備をやったら、『古い自民党に戻った』と言われる」と警鐘を鳴らす。

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すごいなあ、と思ってしまいます。
そして気味悪く感じてしまいます。
恐らくそれは僕だけが感じることではないだろう、と思います。


何を気味悪く感じるのか。
それは彼らが定義する‘豊かさ’がすでに賞味期限切れのものなのではないか、
ということに起因しているように思います。
やり方が古い、新しいは、特に問題ではないと思います。
古くてもそれを享受する人が‘豊か’になれば良いのですから。
公共投資に20兆円、なんて聞くと、何十年も前から同じことしてるなあ、
と感じてしまいますが、人が‘豊か’になればそれで良いです。
実際これで‘豊か’になる人もいるでしょう。
そういう人も多いのかもしれません。
しかし、僕がそれで‘豊か’になることはないと思われます。
巡り巡ってお金が入ってくるかもしれませんが、
それが‘豊かさ’に直結するものではないからです。


政府が目指す’豊かさ’の軸には、「物欲」が存在しているように思えます。
物欲に支えられた’豊かさ’。
「お金まわりをよくさせるので、みなさんにもお金がいきますよ。
 それで好きな物を買って、豊かになってくださいね」
誰にでも理解できる作文にすると、こういうことなのではないかと思います。
政府も国民に‘豊か’になってもらいたいのでしょう。
そのお気持ちはいただくにしても、
人々の「物欲」は年々後退しているのではないでしょうか。
決して人々が高尚になってきているわけではありません(笑)。
単純に、
「必要なものはある程度すでに買っちゃったんだよね〜。だから別に欲しいものそんなにないよ」
という理由によって。
総体的に日本人の「物欲」は満たされている、と僕は考えています。
そんな物的に満たされている国民に「物欲」を刺激して、さらなる「物欲」を喚起させる、
という政府の政策はどうなのだろう、と思ってしまいます。
‘豊かさ’の質の変容を無視した政策のように思えてならないです。
その変容した‘豊かさ’がどういうものなのか、
それは僕にはまだはっきりとした言葉で言うことはできませんが、
それが変容していることは確かなことだろう、と思います。
その内容を考えることは今後の課題になります。