そこあるのは、激しい怒りのみ。

自民党桜田義孝前五輪相(衆院議員)は29日、千葉市で開かれた同党参院議員のパーティーで、少子化問題に関連し「結婚しなくていいという女の人が増えている。お子さん、お孫さんには子供を最低3人くらい産むようにお願いしてもらいたい」と述べた。

 

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5/29(水)の桜田義孝氏の発言です。

 

その前日、5/28(火)に仙台地裁で旧優生保護法による強制不妊についての判決がでました。

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判決はまず、子どもを産むかどうかを自ら決定できる「性と生殖に関する権利(リプロダクティブ・ライツ)」が、幸福追求権などを規定した憲法13条によって保障されていると判断。不妊手術を強制された原告らは幸福を一方的に奪われ、「権利侵害の程度は極めて甚大」と指摘し、強制不妊に関する旧法の規定は違憲、無効だと判断した。

 そのうえで、「不法行為から20年が経過すると、特別の規定が設けられない限り、賠償請求権を行使することができなくなる」ことを前提に賠償責任を検討。旧法が1996年に改正されるまで存続したことや、手術を裏付ける証拠の入手が難しいなどの事情を考慮し、「手術を受けてから20年が経過する前に損害賠償を求めることは現実的に困難で、立法措置が必要不可欠だ」と述べた。

 

という判決で、「旧優生保護法違憲だけど、賠償は認めない」という、わかりにくいものでした。

この判決に対し原告の方々は控訴するそうです。

 

この原告となった方々は、宮城県内の60代と70代の女性です。

国によって、権力によって、法によって、子どもを産めいない身体にされ、出産の機会を奪われた方々です。

そして、それらによって強制的に生き方を変えられた方々です。

お二人は十代半ば不妊手術を受けさせられたそうです。

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この後50年間、60年間をどんな想いで生きてこられたのでしょうか。

それを想像すると涙が、出てきます。

 

強制不妊されたお二人の哀しみが癒されない判決が出た次の日に、桜田義孝氏は「結婚しなくていいという女の人が増えている。お子さん、お孫さんには子供を最低3人くらい産むようにお願いしてもらいたい」と発言したそうです。

 

この惨たらしい仕打ちは何なんでしょう。

子どもを産む機能を強制的に奪っておいて「子どもを産め」ですか。

 

彼が旧優生保護法のことを知っているかあやしいものですが、万が一知っていたとしても、「自分が制定したわけじゃないし」くらいのものなのでしょう。他人事なのでしょう。

しかし、政治家は、例え自分が生まれる前に制定された法であっても現在に影響があるなら、その法の責任を取るべきです。政治家誰もが「私が制定したわけじゃないし」と言い出したら、その法の下で生きてきた、影響を受けた人々はいかように救われるのか? その連続性が国の形です。その連続性を失ったら国は壊れます。(それは外交においても同じです。80年前の戦争であっても、被害国々があり、被害者々がいる現実は変わらない。その責任を「私の生まれる前なので」と放棄したら、それら国々との関係はひどいものになります)

桜田氏も当然、旧優生保護法の責任を負っています。

彼はそんなことを考えもしないのでしょう。

 

彼が政治家としてその資格がないことはとうの昔に明らかになっていますが、今回の発言で人間としても度し難くレベルが低いことが明らかになりました。(分かっていましたが)

子どもを強制的に産めない身体にさせられた二人の哀しみが広く報道された次の日に、「子供を最低3人くらい産むように」と発言した桜田氏。

 

そこあるのは、激しい怒りのみ。

 

 

優生保護法により、2万5000人に不妊手術が行われ、うち約1万6500人は強制だったそうです。

 

【旧優生保護法

「不良な子孫の出生を防止する」という優生思想に基づき、1948年に施行された。遺伝性疾患や知的障害、精神疾患などを理由に不妊手術や人工妊娠中絶を認めた。不妊手術の場合、医師が必要と判断すれば本人同意がなくても都道府県の優生保護審査会の決定を基に強制的に実施でき、53年の旧厚生省通知は身体拘束や麻酔薬使用、だました上での施術を認めた。差別的条項を削除した母体保護法に改定される96年までに約2万5000人に不妊手術が行われ、うち約1万6500人は強制だったとされる。